グリーンスフィア
@marinterasu
【第一話 プロローグ】
遺跡。
この遺物を調べることによって、人々の生活は向上し、また歴史を知ることも出来る。
だがそれには危険が伴う。
今では滅びたとされる魔物の出現、多くの罠や仕掛け。そういったものはすぐに命にかかわることが多い。
魔物に関しては、人々は常にその危険にさらされている。街道を行くだけでも、魔物に襲われる可能性があるし、またその中には、人の眼には映らない妖魔といった、かなり凶暴な物もいる。
遺跡に関する生命の危険では、ほとんどが罠だといっていい。この罠の悪質なところが、生命の危険を顧みないことだ。酸をためた落とし穴、屋根から落ちて来る槍や鉄球。それらは襲われた瞬間に生命を落とす。
他にも飛び出してくる針、今は滅びた魔法の産物などが筆頭に挙げられるだろう。
そういったものから生命を守るために編み出されたのが、落とし穴などを見破る《盗賊の眼》だ。だがこれは習練次第で会得できるが、使いどころが難しい。何故なら、普段の生活には全く必要がないからだ。
さらに挙げるならば、精霊族との出会いも、遺跡の魅力だろう。
精霊族の多くは、人間を嫌っている。戦は国の単位で起こるし、その最たるものは国家間の大戦だ。これによって多くの森が焼き払われ、田畑は荒廃する。そうした生活の中での必要性の高いものは、すべて戦で焼き払われるといってもいい。
だからこそ森の精霊達は死んで行く。宿る樹がなければ、樹の精霊は死ぬからだ。だが人間を嫌う精霊ばかりではない。
森の精霊エルフ、大地の精霊ドワーフは、短命な人間を気に入っている。彼らは長寿で、戦による災害をものともせず、たくましく生きる人間の生命力に、興味を覚えていた。
だがそれだけでは、人間との出会いを望む者は少ない。彼らは常に人の眼に映るとは限らない。ほとんどの者が、寒気といった悪感情を持ちやすい環境の中でしか、彼らは人間を助けようとはしないからだ。
そしてさらに言うならば、今は伝説上の存在となった天族だろう。決して人の眼に映らず、気配すらも感じさせない。それが天族だ。
彼らは自然のあらゆる環境の中に生きていた。かつては、だが。燃え滾る火の属性を持つ火の天族。清澄なる流れの属性を持つ水の天族。荒ぶる揺るがない大地の属性を持つ地の天族。流れ去る風の属性を持つ風の天族。
代表するならば、この四つが四大天族と言われる。
だがここ数千年、彼らを見た者はいない。そうして今は、伝説の中にのみ生きていた。
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