隙間の時間
白鷺雨月
第1話いつもの仕事
白いA4の書類と僕の顔を交互にちらちらと見ながら、彼女は震えるような小さな声で言った。
「あの……主任、これであっていますか?」
書類を受けとると僕は瞳を忙しく動かし、その内容をチェックした。
申し分ないできであった。
「三上さん、ありがとう。これで大丈夫ですよ」
そう言うと安堵したのだろうか、彼女はペコリと頭を下げると自分のデスクに戻っていった。
ゆらゆらと左右に揺れる三つ編みからなぜか視線を外すことができなかった。
夜の七時をまわり、事務所には僕ひとりだけになっていた。ある程度仕事にめどがついたので、帰宅することにした。
壁の電源をオフにすると、パチパチと蛍光灯から光が消えていく。事務所の鍵をしめ、その鍵を守衛室にいる田所さんに渡した。
「今日は森下さんが、最後なんですね。いつもお疲れさまです」
「ええ、そうなんです。お疲れさまです」
田所さんに挨拶すると、僕は会社のビルを後にした。
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