『月の文学館』投稿作品集21~30

夕辺歩

第1話 『宴』


12月。

星のうたげがやってくる。

1時間に見える流星は40個以上という、儚くも壮大な星々の饗宴きょうえんが。


日暮れを待って、私も地上で宴を始める。

河川敷に寝袋を敷いて潜り込むのだ。相棒はスキットルに入れたウイスキー。

星が好きなのは家族で私だけだし、同じ趣味の仲間は残らず県外だから仕方ない。


ただ、今年は特別な夜になった。

流星が、音もなく川辺に落ちるのを見たのだ。

私は寝袋を飛び出した。


落下地点とおぼしい場所では、白く輝くローブを着た子供たちが楽しそうに踊っていた。

みんな双子だった。1人だけ相手のいない、どこか幼い頃の私に似た子供が、手を伸ばして私を誘った。

愉快なひとときの始まりだった。


気付けば私は寝袋の中。じきに夜明けだった。

妙な夢を見たな、と起き上がりかけて驚いた。

手の中に、石英せきえいめいた小さな石の欠片があったからだ。


私は白んだ空を見上げた。

いつかまた出会えるだろうか。

と、双子座流星群の夜に思いをせた。

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