見合う男になる為に
千夏の食事が終わり、会計を済ませ、外へ出ていた。
「悠君。ありがとね。」
「……何が?」
「私のわがまま。聞いてくれて。」
千夏は微笑み、小さく、それでも聞こえる大きさで呟いた。
「……どういたしまして。」
なんて言おうか悠は悩んだがここは素直に千夏の礼に答える。
(俺も、千夏ちゃんをこんなんにした原因でもあるし…………せいぜい千夏ちゃんの男避けとして働こう。)
いつかは本物の関係になりたい。でもそれは今じゃない。
(俺が君に見合う男になるまで、それはお預けだ。)
***
家に帰り、部屋で考える。
(千夏ちゃんに見合う男になるにはまずはどうすればいいのかな……)
今まで、モテるために必要な事なんて考えてこなかった悠には何をすればいいのか全くわからなかった。
(身近な人を習うか………)
悠の身近な人でモテそうな人………。
(秀馬。あいつだな。)
悠は秀馬の姿を思い浮かべ、モテる要素を探し出す。
「………顔か?いや、それだったら俺もそうだしな。」
再び考える。
「髪か?あいつ、パーマだし。」
モテる要素が髪だと結論ずけると悠は鏡で自分の顔を見つめる。
「うん。今日もイケメンだな。 ………髪とかセットしたらもっとかっこよくなるかな?」
悠は街にいるかっこいい人を思い浮かべる。
(確かに、イケメンの人とかってワックス付けてる人多いよな。)
そう思い、ネットで、ワックスの付け方の動画を探してみる。
「………フツメンでも努力すればかっこよくなるんだな……」
見つけたのは決してイケメンとは言えない顔した男のワックスの付け方だった。
サムネには付ける前と付けた後の姿があり、その変化に悠も驚く。
(前世でも頑張っていれば彼女くらい出来たのかな?)
動画を見ているとそう思えてきた悠は苦笑する。
(やってみる価値はありそうだよな。)
やる。そう決めた悠は家を出て、コンビニに向かいワックスを買った。
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