リマキの威加瀬

神城 希弥

第1話 存在の紹介

 この世界のヒーローと呼ばれる団体は、正義とは違う。


 軽く紹介すると、ヒーローは彼等『リマキ』という種族を狩り、それを食料として持ち帰る悪党である。どうやらヒーローの種族『ニンゲン』の町では彼等はとても美味しいらしい。

 そして彼等『リマキ』は1人1人に固有の術を持つ種族だ。そっちの世界で言う魔術師みたいなものである。


 一見聞くと選ばれた種族かと思われるが、彼等『リマキ』は勝てない。元より知能の水準が低いからだ。

 ヒーローが来ているというのに、ある者はこれを機に盗人を働き、ある者とある者がリマキ同士で争いを始め、ある者はヒーローの目の前に現れ抗いもせず朽ちていく。それを見た町の民草は絶望し、そのままやられてしまうのだ。


 一方『ニンゲン』はありふれた知識を使い、リマキに勝てるよう『道具』を作り、元々なかった戦闘力をそれで補った。

 そして今では、リマキを全員殺すかの勢いでヒーローが町を襲っている。



 彼は考えた。ヒーローと呼ばれる者が来たら、何をしたらいいのか。精一杯考えたが“抗う”という選択肢しか出なかったようだ。




 ならこの命尽きるまで、ヒーローと戦ってやる。彼はそう決めたのだ。

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