第2話 繰り返す今日
気がつくと、寝室の天井。部屋中に鳴り響く目覚ましの音。窓から差し込む日光。
「はぁ!?」
頭が状況を把握出来ず、叫んでいた。
「俺、死んだんじゃ...夢?」
一生懸命頭を働かせて出した答えが、「夢」だった。実際、殺される夢、殺されそうになる夢は、何度か見たことがある。しかし、自分の出した解に腑に落ちない点があった。
「でも、妙にリアルだったなぁ...」
悩みながらも、朝食を取り、星座占いを見ていると、疑わしい出来事が起きた。
「ふたご座の方はざんねーん、最下位ですー。用心してないと不吉な事が起こるかも?ラッキーアイテムは、万年筆です。」
夢と同じ内容に恐怖を感じた蓮は、動きがピタリと止まり、箸を落としていた。
「もしかして、正夢?じゃあ、今日殺される?」
恐怖が焦りとなって、蓮の全身を駆け回る。
10分ほど時間が経つと、落ち着いて考えるようになっていた。「もし、正夢でもいつもより遅く出れば、大丈夫だろう。」そう考えた蓮は普段より10分遅く家を出ることにした。
午前7時15分。予定通り、時間をずらして家を出た。蓮の暗い心内とは裏腹に空は快晴だった。最寄りの駅に向かっている最中、蓮は頭を強く打たれ、倒れた。(え?...なんで...まだ駅について...ない...)悲鳴が聞こえないのは、夢と同じで、周りには人が全く居ないからだ。後ろから血の付いたバットを持ったもう1人の蓮が、倒れている蓮の隣に座り、言った。
「安心して、すぐには死なないよ。即死しない程度に打ったから。」
バットを地面に突き立て、楽しそうに語り続けた。
「説明しておきたいこともあるしね。びっくりしたよー、昨日みたいに駅に行ったら居ないんだもーん、君。」
うつ伏せに倒れながらも、視界の端で捉えたもう1人の蓮の姿は、顔や体型は同じでも、ファッションには消極的な蓮が着ないような派手な服、アクセサリーをつけていた。
「勘違いしてると思うけど、夢じゃないよ、これ。君が死ねば、今日は何度も続く。殺し合うことしかできないんだよ。あーでも、この世界は現実じゃ...」
そこで蓮の意識は途絶えた。
目が覚め、3度目の今日が始まった。星座占いが同じであることを確認し、ため息をつき、蓮は覚悟を決めた。
もう1人の蓮と戦うことを。
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