　アンジェリーナの質問にオルガはきっぱりと答えた。

　「我が夫のコンラートには様々な援助を受けて感謝しております。公爵夫人として使命を全うするために精進しております！　」

　でも、それは事前に考えていた模範解答だ。本音でいえば少しずつ愛情みたいなものを感じていた。でも、それを言うのは危険でしかなかった。正体がバレたら恐ろしい事態になるかもしれないからだ。今までのところバレていないはずだった。

　実際、オルガが入れ替わったというのは冗談話とされていた。結婚前にあんなに悪女ぶりを発揮していたのに、結婚してから夫に毒牙を抜かれてしまったんだろう、きっとノルトハイム公爵は魔法でも使ったのだろう。そうでなければ説明できない！

　「ふーん。公爵夫人らしくしているんだね。#助言__アドバイス__#するなら、自分らしくしていればいいのよオルガちゃん。あんまり、猫をかぶっていたらこっちまで肩がこっちゃいわよ！」

　アンジェリーナはそういうとオルガの肩を揉んだ。そして腕を見ようとしたので、おもわずオルガは引っ込めてしまった。腕のホクロの秘密を知っていたら大変だから。一応は、#王女の__・__#オルガと同じ位置にホクロを書き込んでいたが、反対にも同じホクロがあるのがバレたらまずいから。

　「ごめん、ごめん。オルガちゃんって腕を触られるのは男だけといっていたわね。そういえば旦那さんとうまくやっているの、#アレ__・__#を？」

　アンジェリーナの表情は明らかにアレの事をいっていた。本当の事はいえなかった。純潔の誓いを破った罰を受けるまで睦事はしないと約束しているなどと。

　「そうねえ、まあ・・・いま出征中だからね・・・早く、跡取りになる赤ちゃんほしいわね・・・」

　オルガはまずいとおもった。日記にはオルガが淫らな事をどのように言ったなんて書いていないから、仕草を再現できないのだ。本当のオルガは純朴で男女の淫らな関係なんてするような少女じゃなかった。

　「ふーん、わかったわ。また、お話しましょ！　今度、私の屋敷に遊びに来てね、ノルトハイム公爵閣下と一緒にね。待っているわよ、オルガちゃんの好きなモノを色々用意しているからね」

　オルガはようやくアンジェリーナから解放されると一安心した。でも、これで入れ替わったオルガの振りが出来たのか心配で仕方なかった。

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