12/26の声 マナーは思いやりです

 感染対策ができていない人が近づくと、感染対策を気にしている人は気が滅入り、すり減ります。

 私事ですが、感染対策をしていない人間に脅かされながら過ごす一日の例を書きます。


 朝の通勤時、前を歩く人の後ろについて、道を進みます。ずいぶんそうして歩いて、信号で立ち止まり、前の人の様子を見てみるとマスクを着けていません。長い距離、マスクを着けていない人間の後ろをずっと歩いていたかと思うとゾッとします。後ろ姿ではマスクをつけているかどうか分からないので、必ず人の真後ろには立たず、距離をとるようになりました。


 今の時期、駅のホームや電車の中で飲食をする人は嫌いです。周囲は全員しっかりマスクをした人だけであることを確認して、電車の中に乗り込みます。しばらくして隣の人を見ると、さっきまでしっかり着けていたマスクを、下にずらして鼻を丸出しにしています。鼻呼吸をしていれば、この人はマスクをしていないのと同じです。全員しっかりマスクを着けているのを確認していたのに、すごい絶望感です。すぐに離れたいですが、電車の中もそれなりに込み合い身動きとれません。詰んだ。もしこの人が感染者ならうつされる距離だ。次の駅で人が下りるのと同時にその場を離れました。


 職場近くについて、多目的ビルのトイレの個室に入ります。洗面台のほうからガラガラガラガラっとうがいをする音が聞こえます。飛沫が飛んでいます。すごく落ち込みます。自分は何だか、感染対策をしない人間と遭遇してしまう運が悪い気がします。


 帰りの電車や帰宅路も、マスクを着けていなかったり、口にしか当てていなかったり、突然マスクを外してものを食べ始めたりする人たちにビビりながら、コンビニへやってきました。幸い、マスクを着けていない人間はいません。お弁当他数品を買って、お弁当をレンジで温めてもらいます。他の品物はむき出しでレジ机の端に置かれました。すると、次の客はマスクを着けていません。こういう人間に限って妙に饒舌で「あれがほしいこれがほしい、あれやってこれやって」としきりに店員へ話しかけます。店員さんとの間に天井からビニールシートはぶら下がってますが、レジ机は無防備です。そこに置かれた自分の商品が、飛沫を浴びていきます。オワタ。弁当だけ受け取って、他の商品はなるべく店員さんに気づかれないように、コンビニのゴミ箱に放り込んでいきました。感染する危険のあるものを、自宅に持ち込むわけにはいきません。スーパーは、入り口にアルコール除菌もあって、店員さんがマスクをしていない人を注意してくれたりするので、コンビニはやめて、スーパーへ通うようになりました。


 感染対策を気にしている人間は、少なくとも自分は、感染対策していない人間に近づかれると、気が滅入りますし、心理的にすり減りますし、どうしてその人間がマスクを外すことを見抜けなかったのか自分を責めたくなりますし、感染対策していない人間とばかり遭遇する運の悪さを呪いたくもなります。

 マナーは思いやりです。

 今は思いやりに委ねるしかありません。

 個人的には刑罰に頼りたいです。


 ある町議員が新型コロナへ感染したとき、「死ね」「恥さらしが」といった誹謗中傷があったそうです。危機意識の強い人間もちゃんといるようです。そして、このような誹謗中傷は、本来、マナーを守らない人間にこそ向けられるべきだと思います。


 きちんとマスクを鼻までつけ続けましょう。

 そうすれば、公用トイレでうがいも歯磨きもできませんし、ホームや電車内で飲み食いもできないはずです。

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