能力者兄妹が異世界にログインしました
紺崎 翔空
第1話
「ねえお兄ちゃん、ここはどこなの?」
そう聞いてもお兄ちゃんは答えない。いや、答えられないの方が正しいのだろう。
目を覚ませば知らない天井が…なんてネタがあるとかないとか聞いたことがあるが天井すらない。ただただ真っ白な空間。
にしてもお兄ちゃん全然動かないなぁ…。
「お兄ちゃん、自分の名前は覚えてる?」
「いや、記憶喪失じゃないから。名前は
「うん、正解。」
なんて会話をしても意味ないのはわかってるが何をどう行動するのが最善なのかがわからない。
「お兄ちゃん、どこまで記憶ある?」
「お前といつものようにス◯ブラしてた。そんで眠気が来て…そっから覚えてない。」
「私も。時間帯的に一切眠くないはずなのにいきなり眠気がきたわ。」
つまりどうしてこんな場所にいるかわからないと…。服装はスマブ◯していた時と変わらずTシャツにグレーのダボダボのパーカー。そんでチェック柄のスカート。スマ◯ラしていた時と違うものと言えば靴と靴下を履いているということ。膝ぐらいまである白色の靴下と黒色のスニーカーを履いている。
お兄ちゃんは相変わらず動きやすそうな服を着てるけど。
「どうしたらいいの…?」
そう呟いた時ドカーンッッッッ!!!と大きな音が響いた。
……爆発した…?
「やあやあ兄妹くん。ようこそ、僕の空間へ。」
目の前に現れたのは右目の眼帯に『神』とつけた男。浴衣のようなものを着ており身長は随分と高い。
「そんな警戒しなくてもいいじゃないかお兄さん。」
お兄ちゃんはまるで私をかばうようにして私の前に立っている。
「どこの誰かも知らねえ奴にお兄さんなんて言われたかねえよ。」
お兄ちゃんはいつもよりワントーン低く明らかに警戒している。まあ爆発音的なものがあった後にいきなり現れたよくわかんない奴に警戒しない奴なんていないだろうけど。
「シスコンもほどほどにしたらどうだい?知ってるよ、君がシスコンだってことぐらい。そんなんじゃ妹さんは結婚すらできない。」
「そ、それは…。」
「いやいや、そこはシスコンを否定するか結婚できるって即答で断言して欲しかったんですけど。」
「まあその話は置いておこう。僕は神、君たちをとある異世界に行かせるためにここにいる。」
とある異世界に…?しかも神って…。
「おい紙、そのとある異世界とやらは安全なんだろうな…?」
「うん、神ね。これ小説とか漫画じゃないと伝わりづらいからやめようか。とある異世界は危険ももちろんあるよ。だって君たちが元いた世界だって殺し合いがあったり人を殺せる刃物があったりしたじゃないか。」
確かにそう言われるとそうだ。あれが普通みたいに思ってたけど危険なものは時代が進むにつれて多くなってると思う。今の時代精神的にも殺せるし。
「とりあえずもうめんどくさいし異世界楽しんでね、はい!終了!!」
「はぁ!?髪ってのはそんなにめんどくさがり屋なのか!?」
「だから僕は神!!そのネタやめて!!」
かなりオーバーに泣き真似し始めた髪を横目にお兄ちゃんに喋りかける。
「どうするの?ここから出る術は私たちには無いし一生ここにいるわけには行かないしよ。」
私の発言にお兄ちゃんは確かになと頷く。
「それじゃあ神、交換条件はどうだ?」
「うん、どんと来い!!」
神は先ほどとは違いにっこりと笑ってお兄ちゃんの手を握るがお兄ちゃんは勢いよく手を薙ぎ払う。
「おい変態、取引だ。」
「神に変態っていう奴初めて見たよ。」
「俺たちに能力をくれ。もちろん危険な目にあってもどうにかなりそうな奴。能力をくれたら俺たちは異世界に行く。これでどうだ?」
能力をもらったとしても危険な目に合わないといけないのか?というかお兄ちゃんはただ単に能力が欲しいだけだよね?頰緩んでるよ?
「うん、もちろんいいよ!!それじゃあ君たちに能力を授けよう!!」
そう言いながら神が渡してきたのはチョーカー。お兄ちゃんの方にはヘッドフォン。
「これを身につけている間は能力が使えないよ。ちなみにオススメはヘッドフォンを肩にかけておく!チョーカーは普通に首に!」
言われた通りにチョーカーを首につけ丸い形をしている水色のガラスを前に来るようにする。
「うん、2人ともいい感じだね!!それじゃあ行ってらっしゃ〜い!!」
その声を聞いた瞬間ス◯ブラしていた時と同じような眠気に襲われ私は目を閉じた。そのあとかすかにキーボードの音がした。
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