出里張ィピザムライ!
何屋間屋
第一話 出里張ィピザムライ!
時は空腹、稀代の悪党、闇鍋将軍ねぶり箸
弱きものは強きものにただ奪われるのみ。誰もが腹満たされる時代など夢のまた夢と思われた──
そう、この漢が現れるまでは。
「そこまでだ
「な、何奴!?」
三下三人組の前に現れたのは、甲冑を身につけたふくよかな一人の武士──否、サムライであった。
「何奴!?と問われれば、腹から声を出して答えざるを得ないな。だがその前に──」
サムライは三下の足元にうずくまる一人の少年に視線を落とす。
「少年、そいつらに何をされたんだ?」
「う、うぅ……」
顔を上げた少年の目には溢れんばかりの涙が溜まっている。
「この人達、僕ん家に今月の米を回収しにきて……でも今月はどうしても渡せないから来月にまとめてお渡ししますって言ったんだ。そしたら──うあっ!?」
三下の一人が少年の首根っこを掴み持ち上げる。
「ハッ、米は待ってやる。代わりにお前のおっ母の身体で奉納して貰おうかって言ってんだよ!」
「お母さんの素手で握ったおにぎりは塩味が違うんだよ塩味が!」
「……なるほど?」
「
「はよ同意書に
「……なーるほど?」
サムライが『確かにお母さんの素手で握ったおにぎりって美味しいよな、科学的に研究されてたりすんのかな』などと考えていると。
「!?お侍様!後ろ!」
「隙ありぃぃぃ!死ね侍!」
キィン!ズシャッ!
「……何ぃ!我らミネウチーズ暗殺担当を一撃で!?」
「まったく、
サムライが手にした刀からじゅわじゅわと、食欲をそそる歓喜の音がする。
「体内で
刀に浮かび上がるはトマトソースが如き赤く、バジルが如く
そう、この
「
完成
「満腹中枢、大喝采!」
ジューシーな爆発!三下は爆散した。
「……さて少年。怪我は無いかな?」
「ぼ、僕は大丈夫です。助けてくださってありがとうございます」
サムライは少年の頭に手を置いた。
「怖かっただろうに、よく頑張ったな。偉いぞ!」
「……!」
少年はサムライに惚れた。
「それじゃあ気をつけて帰るんだぞ。お母さんを大事にしろよ」
「あ……あの!お侍様のお名前!聞かせてください!」
そう、この漢こそ──
「ピザムライ、
何故、彼はピザムライとなったのか?時はさかのぼる。
*
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