母を恨んだ、決定的な瞬間。



 私は。


今は違いますが。


美少女だった為(当時安達祐実に似てると言われてた・・・)


母は私に子役を目指したかったそうです。


私は。


とても嫌でした。 


母は、さんざん父親の悪口を私に聞かせました。


私が習い事を拒否すると、必ず「父親の経営している工場を継がせる。」という母の言葉が。


大嫌いだった父のもとに、お前を捨てていくからな!!。


そんな脅迫のようにすら感じました。


私は、母の言うように劇団に入り、子役に向けてのレッスンと必然的に増える毎日の習い事を続けていました。


 何年か続けて。


 本格的に、演劇に目覚めました。


舞台に上がらせてもらうチャンスも来ました。


高校一年生の時です。


ただ、その舞台に上がるにはチケットを売らないといけなくて。


売れなければ、そのチケットは全部で2万くらい。買い取らないといけなくて。


アルバイトしてそこは自分でなんとかするから、出させてほしい。


そう言った私に。


母は、まっすぐ私の目を見つめ、そして手を取り、こう言いました。


「そんなの、お金が続かないに決まってる。お願いだから、今回は辞退してほしい。」


がたがたがた・・・・


その瞬間、私の中で。


今まで積み上げてきたものが。そして、私を支えていたものが、崩れていく感覚がしました。



子供の頃。


血のにじむ思いで、努力した、あの習い事の日々はなんだったの?。


あれで、友達との時間もとれなくて共通の話題もなくて、友達もあまりできなかった!!!!


母監視で。


家で毎日自主練習していたあの日々はなに?!。


勉強と、あの両立どれだけしんどかったか分かってる?!。


アンタの夢に無理やりつきあったんじゃないか!!!


さんざん、振り回しといて。


アンタの勝手な夢で、子供時代を台無しにして!!


返せ!!!! 返せよ!!  私の子供時代を返せ!!!!!!!




 そのショックももちろんありました。




私。本当に女優になりたかったわけではなかったのです。


演劇は興味あったんですけど。


自分でオーディションを受けて。


可愛くなかったから、一緒に入った子達の中で一番可愛くないし、スタイルもよくない。化粧も下手だったんですけど。


だから、芸人にされたんですけど。


それでも。与えられた課題を頑張って。


初めて、打ち込めるものに出会ったんです。


この経験は今も糧になっているかもしれないです。


「君の武器は面白い所!。」


そう言って認めてもらえたんです。


相方も決めてくれて、コンビ名ももらえる予定だったんです。


実際に芸をするわけではなかったんですけど。


歌と共に、ソロで躍らせてもらえる予定だったんです。


初めて、私。認めてもらえるかもしれないチャンスだったんです。



それを、この人は簡単に。


いとも、まるでお取り置きしておいたお洋服を、無かった事にしたみたいに。


私の夢をも、無かった事にしたのです。



この舞台にはどうしても、立ちたかった。




どうして・・・。どうして・・・・。どうして・・・・?!?!?!?。





 人生で、悔しくて、これほど泣いた事はありません。



 親からしたら。


 親としては。普通に進学して欲しい。賭けでしかない世界に足を踏み入れて欲しくない。


それは分からなくもないですけどね。。。


 でも、これは母を恨む決定的なエピソードでした。

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