2019年を五十音で振り返るなど

瀞石桃子

第1話


【あ】

嵐に再びご執心になっちゃったのが沼の入り口だった。昔はCDやテレビの世界で輝き放っていた嵐が、今はスマホとSNSのおかげでとても近くに感じる時代。すごいよね。来年は活動休止の予定だけど、最後まで追いかけ続けるだろうなあって感じ。


【い】

西表島にお仕事で行った。ほとんど観光気分で、南国を満喫。色々美しい思い出ばかりで。夜、静かな内海の砂浜で、きんきんと冴えた星空を見上げ、波の音を聴くとか。天然記念物のセマルハコガメを捕まえるとか。昼間のセンダンに群がるオオゴマダラやリュウキュウアサギマダラの優雅な飛翔とか。ヒカゲヘゴやオオタニワタリが当たり前に見られる鬱蒼としげる林内とか。水牛に引かれるとか。


【う】

歌にまみれた年。Apple Musicを導入してから、これまで聴かなかったジャンルとかアーティストに触れる機会が多くあった。今年一番聴いてたのは間違いなく椎名林檎(Appleだけに、ってわけじゃない)。好きな曲は人生は夢だらけ。


【え】

エモいって言葉、けっこう使っちゃってたの。なんかね、心臓ちょんってされるような事があるたんび口から出てた。感情にぴんと寄り添う言葉は、ふとね。


【お】

お絵かき。めちゃくちゃお絵かきしてた。二年くらい前から創作の方向性を三つのベクトルに分けて、その一つがイラストだったのだけど、今年の中頃からiPad Proを使い始めたので変化の度合いがすごい。Procreateというアプリで、けっこう気に入っている。



【か】

帰り着いて、家のなかでリラックスして椅子に座って「さて、帰るか」って言ったときは自分にびっくりした。そういうこと、たまにあるんだ。


【き】

帰宅して、家でリラックスして椅子に座って「よし、今日はもう帰ろう」って言ったときも自分にびっくりした。ソウイウノ、ヨクナイネ。二日連続ってのも、ヨクナイ。


【く】

グミばかり食べてると、笑われる。「またグミ?「次なんのグミ?「同じグミ2個?「またグミ。「ほんとグミ好きだね。「ああ、グミね。「新しいやつ出るたび買ってない?「昼食もグミじゃん」


【け】

毛が抜ける。健康診断は良好でも自律神経がすこぶる乱れているからこうなるし、悲しい気持ちに歯止めは効かないのです。


【こ】

公園で猫と戯れているときが一番幸せ。猫セラピーは偉大。尻尾たてて、すりすり寄ってきて、膝に乗ってくるので、よくマッサージする。気持ちいいところを攻めてあげると、お前はちゃんとわかっているのにゃあ、って見上げてくるの堪らない。


【さ】

さらざんまい。世界観もストーリーも好みだった。同監督による輪るピングドラムも好きだったんだけど、さらざんまいはより現実にある度しがたい問題とか、そこと個人の感情との間で生じるカサカサとした摩擦がなまめかしく煌めいていたかな。OPもEDも良き。


【し】

賞をいただいた。とある発表会で、全然期待していなかっただけに呼ばれたときはと胸を衝かれた心地だった。来年は最優秀賞を狙ってと言われたが、荷が重い。いつだって期待は言うことを聞いちゃくれないんだぞ。


【す】

すいみんすいみんすいみんすいみんすいみん不足。日中眠くなったりすると、夜が遅くなる、朝が辛くなる、みたいな悪循環はいよいよ改めるべき。


【せ】

世知辛い〜、理不尽が多すぎる〜


【そ】

創作の行方について。今年は物書きをなるだけ抑えて、絵を描くことと音楽に挑むことにお金も時間も費やした。上達を実感する愉悦と、周りを見渡して襲いかかる浅学と未熟の暴虐に踏み潰されながらも、かろうじて今年の課題はクリアできた。しかしこれがまた不思議なもので、物書きをしていない不安はぶくぶくに結実して、気づけば物語を編み込み始めていた。創作自体、己の感覚や感性、感情に絡みついて出来するダイナミックな行為だから、不安が募ると創作に向かうのは必然っちゃ必然。来年も変わらず創作に打ち込めたら素敵。


【た】

タピオカは飲みませんでした。食べものブームって定期的にやってくるけど、大事なのは食べものの名前だよね。日本人は破裂音に弱いのだと思う。タピオカが武蔵丸とかいう名前だったら絶対売れてないだろうし、パプリカだって西洋唐辛子という名前なら誰も歌わない。名前は大事。


【ち】

痴情のもつれ。


【つ】

通販はどうにも購買のハードルを下げてしまうきらいがあるのか、大したことないものをよく買ってしまう。口座引き落としだからお金を払っている感覚すら怪しくなってるし、際限がなくなる。目の前にないものを注文することが常態になっている昨今、お店に出向いて買うことの意味というかメリットをずっと探している。まだUberEatsは利用したことはない。


【て】

天気の子は公開初日のレイトショーかなんかで観に行った気がする。新海さんの作品は物語そのものは低い雲のかたまりみたいで、そこに微細な彩りの粒子がきらきら広がっていく感じなんだけど、前作から引き続きストーリーにも重心が乗っかりつつある。気がする。街の描写は毎度素晴らしい。


【と】

東京は時間があるなら何回でも行きたいくらい求心力がある。今年は二回と少なかったので、来年はもう少し行きたい。来年は東京オリンピックが大きな目玉。我々が生きている間では、もしかしたら最後の母国開催になるのかもしれないと思うとやはり現地に赴きたい気もする。いや、でもあと五十年以上は生きると想定すると、あと一回くらいはあるのかしら。


【な】

nanomeさんとオフ会をしたのが今年のnove関係のハイライト。同会参加のあおとさんとは事ある毎にお会いしてるけど、nanomeさんは古株ユーザーのなかでは会っていなかった一人だったからお会いできて良かった。


【に】

任天堂のハードはゲームボーイ以降全部遊んでて、一途に恋し続けている。Nintendo Switchは最近とかもポケモンシールドを買って遊んでた。任天堂のゲームは間違いなく自分の根幹を形成していて、ゲーム性・キャラクター・音楽のいずれも自分に多大な影響を与えているコンテンツ。スマブラSPは多くのゲーム音楽が詰まっているので、プレイリスト作っていつでも聴けるようにしてる。


【ぬ】

「ぬ」で始まる言葉で今年印象的なのがない。ボボボーボ・ボーボボで、ところ天の助が「ぬ」のハンカチとかよく使ってた。なんだ「ぬ」のハンカチって。そもそも、ぬの右下の一回カーブ描くのもなんなんだろうな。めの派生系としてぬが生まれたのだとすると、めから派生させる理由があったのだろうか。別の字でも良かったはず。よしんば偶然の産物として、ぬという字形が誕生したとして、ぬって音で呼ぶの無理がある気がする。ぬ、って、しりとりで困る頭文字ランキング上位に来るよね。


【ね】

猫派。揺るがない猫派。最近犬も可愛いと思うし、鳥も可愛いし、人間以外の生き物はすべて素晴らしいんだけど、何周しようと結局は猫に帰着する。人ん家の猫もいいけどやっぱり自分んとこの猫。ラグドールも好きだけどやっぱり自分んとこの猫。近所の猫ちゃんが甘えてきてもやっぱり自分んとこの猫。すべて投げ出して、猫ちゃんたちと暮らしたい。


【の】

飲み会行きたくねえ!

もしもボックスがあるなら、いの一番に飲み会のない世界にする。そのあと猫が産業の中心となる世界にする。それこそが正しい世界のあり方。


【は】

徘徊ってのじゃないけど、夜、気分が優れないときはよくドライブに出かけていた気がする。高速には乗らず、暗い道をゆるゆる走ったりして深夜のコンビニに寄ってみたり。少し落ち着いたら音楽をかけながらゆっくり家に帰る、みたいな。満月の夜なんかは街灯がなくても白々しくて明るいから、しんみりしているし、けっこう好きだったな。


【ひ】

左利きになれば右脳が優位になるから、物事の処理の仕方に今までにない変化が起こるんじゃないかと思って、半年前くらいから強制し始めた。食事は不自由なくできるようになってきたし、絵もラフを描くときは左手で描くようにしてる。字を書くのは、依然難しい。日本語、とくに漢字は「線を引く」ことが基本になっているため、左手だとどうしても押すようなフォームになってしまう。力の入れ加減が難しく、文字通り小手先の微妙な操作が重要。まだまだこれから。


【ふ】

文章を書くことに苦労を感じたことはないけれど、世間一般の日本人は文章を書けない人が比較的多い。自分の周りもそうだし、年齢のわりにあれ?って思うような文章を書く人が普通にいる。君は毎回文章が上手いよね、読ませる力があるよ、って褒められても喜びようがないのが本音。ともあれ芸は身を助ける。あと個人的にだけど、小説の後書きが好きな人は物書き向きだと思う。


【へ】

Hey, Siri!

あんまり使ってなくてゴメン。


【ほ】

ポケモン最新作はシールドの方をプレイしました。今作は特定の場所でポケモンが巨大化するダイマックスとか、ジム戦が華々しく取り上げられるとか、ストーリーを進めていなくてもさまざまなポケモンに出会えるワイルドエリアとか、据え置きのハードだからできる演出だとか、音楽だとか、グラフィックだとか、過去作とは全然違う面白さが多くあった。ジム戦とビート戦とオリビア戦BGMが今回のお気に入りで、それらを凌いだのがチャンピオン戦BGM。というのは、前作のサンムーンではチャンピオン戦のイントロがポケモンのタイトル曲になっていたんだけど、今作においてはエンディングがメインになっている。それが最高だなって。携帯ゲーム機の最後の作品では始まりの曲が待ち構え、据え置きゲーム機の最初の作品で終わりの曲が待っているとか、そういうのズルいんですよ。ダンデが最初に繰り出すポケモンがソードシールドをモチーフにしたギルガルドであるとかさ、序盤に主人公とライバルに選ばれなかった最初の3匹のうちの1匹がチャンピオンの手持ちにいるとかさ、そういうのにすごく弱いんだよ。ポケモンのコンテンツはすぐそういうことするんだよ。サンムーンのアニメではリーグ戦の最後、ククイ博士とのエキシビションマッチの最後の1匹どうしの戦いでタイプ:ワイルドが一番良いところで流れるしさ、新しく始まったポケモンはゴウくんが可愛いしさ、これまでのポケモンアニメのオマージュ的演出もチラホラ見られるしさ、なんかもう全然まとまらないんだけど2019年のポケモンはほんとうに素晴らしかったよ、っていう。



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