猫ナイター
ハリエット・ヴァンゲル
第1話
ジャーーーーッ!ンギャアアアアアア~!!ヴエアアアアアアア~~!ンイイイイイイイイ~~!ヤアアアアアアア(中に)アアア(出して)アアア!!!
地獄の淵から呪詛が聞こえてくる。チッ、また始まった、春先の夜は活発である、今日こそ止めさせたい、急いで風呂から出ねば。確かに俺は妻との関係が上手くいっておらず長い間、夫婦の夜の営みはない。その期間に見送ってきたスマホは4台になるだろうか、あるいはTwitterのアカウントならばなかなか長寿と言われるかもしれない。だからといって仲睦まじい野良猫の子作りを妬んでいる訳ではない。苦い思い出が頭をよぎる。
「博物館かよ!!」、実家の郵便受けの台座の下、雑草の生い茂った中に猫の白骨体があった。それは子供に脊椎動物の骨格を教えるための標本のように、横たわった姿勢そのままであった。現代人が不足していると言われるCa感満点で美しくさえあった、今ならバエ~などと言ってインスタにあげていたかもしれない。やだ怖い気持ち悪い片付けるの無理、そう思った俺は合掌・黙祷を捧げ、母ちゃん~郵便受けの下ぁ~ちょっと~すごいよ~、そう家中へ叫び大急ぎで漫画喫茶へと逃げ出した。ジョジョを読んだがショックで本体とスタンドの区別がつかなかった。
上記は俺の独身時代の出来事である。我が実家の隣りに廃工場があり、これがなかなか野良猫には優良物件らしく屋内には侵入できないものの、ウチの土地に面した駐車場は10台分以上のスペースがあり、奥の方は建屋から伸びた庇で雨を凌ぐことができる。周囲は金網フェンスに守られ、たまに見に来る管理人以外に近付く者はいない。現在は廃工場に面する側の土地を親から譲り受け、そこに俺の家が建っている。こんなこともあった。
「覚せい剤やってんのか!!」、俺の親父が軍手で持っていたのは大人のゲンコツ程の子猫の死体だった、物置小屋の奥の方から出てきたらしい、アワワワ恐怖で鑑識も合掌もする余裕はなく、親父から距離をおきそのままの勢いで漫画喫茶へと逃げ出した。ドラゴンボールを読んだがショックでピッコロと神様の区別がつかなかった。
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