第10話しばしの別れ
俺達3人が受験が終わり村に戻ってからおよそ1ヶ月後、ついに村を出て王都へ行く時が来た。
「ノルン、Sランク校にせっかく推薦してもらったんだから悔いのないように学校生活送れよな!」
「ノルン、体に気をつけてね? 寮生活だから当分は会えないけど手紙を書くからちゃんと読んでよね? お母さん応援してるわ!」
「父さん、当たり前だよ。推薦してもらったからには学校長の顔に泥を塗らないようにしないとね。母さん、手紙は書くから安心して。心配しなくてもちゃんと書くからね」
「頑張れよ、ノルン!」
「頑張ってね、ノルン!」
「ああ、頑張るよ。父さん、母さん行ってくる」
そうして俺は父さんと母さんとしばしの別れの挨拶をし、ザックとセレーネを待った。
ザックとセレーネも両親としばしの別れの挨拶をし、どちらも泣いていた。
きっと、12年間一緒に暮らしてきた家族と離れ離れになるのはやはり寂しいものなのだろう。俺も例外ではない。
しかし父さんと母さんはいつも俺を応援してくれる。だから前を向いて堂々としていられる。挫けず前に進むことができる。
寂しいという感情と同時に俺はワクワクしている。
どんな学校なんだろう? どんな生徒がいるのだろう? どんな事が待っているのだろう? と。
そう、俺は今とても待ち遠しいのだ。
そんな感情に浸っていると声がかかる。
「ノルン、行くぞ!」
そう言ってきたのはザックで目の辺りが少し赤い。擦ったようだ。俺の前では涙を見せたくはないのだろう。期待に応えるしかないな。
「ああ、行こう!」
「行きましょ!」
そうして俺達3人は再び王都へ向けて出発した。
◇
村を出てから2日が経ち俺達は王都へ入った。
王都へ入ってすぐ、俺は、ザックとセレーネとここで別れる。理由は学校の場所が違うからだ。
王都は5つの区に区分けされていて、単純に王城近郊の街が中央区、王城から見て、北は北区。南は南区。東は東区。西は西区。そして俺の通うのはSランク校の王立カルティエ学院で王都の中央区の一角にある、とアイリーンさんにもらった資料に書いてあった。
対してザックとセレーネはAランク校の王立サーフェリア学院に通うことになっていて、南区にある。
俺達は南から王都に入ったのでここでお別れという事だ。いつ会えるかも分からないが、会えない距離ではないし会いに行きたいとは思ってる。
「じゃあな、ノルン! 今度会うときは今よりも強くなってやるからな!」
「じゃあね、ノルン! 私だってザックに負けないように頑張るんだから!」
「ああ、2人とも元気でな。次会うときはもっともっと魔法が使えるようになってるから期待しといて」
そうして俺達は別れた。
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今日はもう1話更新します!
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