1章 1.グレイ公爵家


 この世界の頂点に君臨するシャノン王国は職に困らないことで有名なため他国からの移住民が多く豊かな国である。そのシャノン王国の王家の人たちの次に権力があるのがグレイ公爵家で代々続く宰相一家なのだ。その下にはレスター侯爵家、ウィンチェスター侯爵家、アンチェスター侯爵家、ランカスター侯爵家と四大スター侯爵が続く。それぞれ商業一家、騎士一家、農業一家、将軍一家と各自大きな権力を持っている。




 私はグレイ公爵家の次女アイリス・グレイと申します。

 今年で2歳になります。

 この世界では誰しもが3歳になる年に守護動物〈ガルディエーヌ〉を神から携わることが決まっており、〈ガルディエーヌ〉から魔法の力を借りるのです。

遂に来年私も〈ガルディエーヌ〉を携えることができるのですが、我が家は代々トリ科の〈ガルディエーヌ〉を携えるのできっと私もトリ科のものなのでしょう。

 そんな将来がある程度決まっているであろう私にはどうしても譲れないものがあります。それは、〈ガルディエーヌ〉達ともふもふすることです。

私は生まれたころから動物に好かれており、私のぬくもりといえば動物たちのもふもふなのです。そして本来なら主である者しか〈ガルディエーヌ〉の声が聞こえないのに私はなぜかすべての〈ガルディエーヌ〉の声が聞こえるのです。

このことは家族、使用人は知っており、温かく見守ってくれています。

もふもふのためなら私は何でもできてしまうといっていいほど大好きなことなのです。




 「アイリス様、起きてください。朝ですよ。」

心地よい風が入ってきたと同時に私の専属侍女、ハンナが優しい声で起こしてくれました。

「ハンナ、ユウおはよう。きょうもいいてんきね。」

私はハンナの〈ガルディエーヌ〉ヒョウのユウ・ユキヒョウにも挨拶した。

「アイリス様、おはようございます。今日はお体の調子が良いようですね。お食事は食堂の方で食べますか?」

「きょうはとても元気なの。だから森にいくの!しょくどうでたべる!」

「さようでございますか。あまり無理なさらないでくださいね。」

[アイリス様は体が弱いから心配だな。]

「うん。ハンナもユウもしんぱいしすぎよ!体がわるくなるまえにかえってくるから大じょうぶよ。しょくどうにいきましょ!」




 ガチャ

「とうしゃま、カムリ、かあしゃま、キイおはようございます!」

「アリスおはよう。」

[アリスよく眠れたか?]

「アリスちゃんおはよう」

[アリス今日は元気なようでよかったわ]

上からグレイ公爵家当主でアイリスの父、ギルニーク・グレイ

ギルニークの〈ガルディエーヌ〉トリのカムリ・カリムリクマタカ

アイリスの母、ユラリス・グレイ

ユラリスの〈ガルディエーヌ〉トリのキイ・キクイタダキ

「うん、元気!きょうは森にあそびにいくの!」

「そうか、しっかり朝食を食べていきなさい。」

「あーい!」

「アリス今日は食堂で食べるのね!」

[アリスちゃまは今日もかわいいわ]

「アリス、おはよう。」

[アリス嬢は今日も美しい]

上からグレイ公爵家の長女、ベルリス・グレイ

ベルリスの〈ガルディエーヌ〉トリのベル・ベニヒワ

グレイ公爵家の長男、エドニーク・グレイ

エドニークの〈ガルディエーヌ〉トリのオーグ・オオワシ

「べリスねえしゃま、エドにいしゃま、おはようございます!ごはんたべましょ!」




 朝食を食べたアイリスは家族に挨拶をして公爵家の裏にある森に出かけました。

そのころグレイ公爵家では…

「アリスは大丈夫だろうか」

[ギル、心配なのはわかるが握っているフォークが折れそうだぞ。]

[エド、お前もフォークを折りそうだ。落ち着け。]

「オーグ…。そうは言ってもあのかわいくて小さいアリスが一人で出かけたのだぞ!」

「うちの男性陣は心配性ね。けどアリスちゃんケガしてないかしら?」

[ユリス、あなたも心配してるじゃない]

「お母様、アリスがケガするなんて不吉なこと言わないでください!」

[アリスちゃまが心配だわ]

皆がグレイ公爵家の末っ子を心配しているようだ。

「そうだ!父様、今度アリス専属の護衛をつけましょう!」

「エド、いい考えだな。そうしよう!」

[侍女のハンナもなかなかの腕だが多いことに越したことはないだろう]

心配性で目に入れても大丈夫なくらいアイリスを溺愛しているグレイ公爵家だった。

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