第80話 リーサルウェポン?
傭兵達が着地した糸魚川君に一斉に襲いかかった。糸魚川君は抜刀して迎え撃つ。
自動小銃やピストルを向ける者もいたけど、引き金を引く前に懐に潜り込まれ峰打ちで打ち倒されていく。
「そこまでだ。糸魚川の
日本刀を抜いて現れたのは村井。
「さすがだな。新中野学校のリーサルウェポンと言われるだけのことはある」
「リーサルウェポン? 僕はそんな風に呼ばれた覚えはないが」
「隠すな。糸魚川室長が我が子を最強の戦士にすべく英才教育を施していた事は内調にいたときに耳にしていたが、これほどとはな」
「ちょっと待てい!! なんだ? その英才教育って? 僕はそんなの受けた覚えはない」
「重りをつけて華厳の滝に沈められたり、養成ギブスを付けて熊と格闘させられたりするのは英才教育じゃないとでも言うのか?」
そんな事されてたの?
そりゃあ逃げ出したくなるって。
てか、死ぬよ、普通。
「あの……それって、新中野学校の普通のカリキュラムじゃないの?」
「そんなのが普通なわけあるかあ!」
「え? そうなの?」
騙されてたんだね。可哀そう。
「だいたい普通のカリキュラムしか受けてない奴が俺に勝てるわけないだろ」
今朝、負けたことがよっぽどくやしかったようね。
「だが、俺もおまえのようなガキにやられっぱなしというわけにはいかない。今朝の雪辱、はらさせてもらう」
村井は刀を構える。
糸魚川君も油断なく構えた。
誰もが、固唾をのんで二人の決着を見守る。先に動いたのは村井。
え? なにあいつ、日本刀を投げ捨てた。
バアン!!
銃声が鳴響く。
刀を捨てた村井の手にはピストルが握られていた。糸魚川君は仰向けに倒れている。
きったねえ!!
「どわはははは!! 思い知ったかガキ!! 科学の力を甘く見るな。いくら剣術が強くたってな。所詮飛び道具には勝てっこねーんだよ」
何が科学の力よ!! この卑怯者!!
「あなたこそ、科学の力を甘く見ないでくれ」
え? 糸魚川君。大丈夫だったの?
動揺する村井の前にのっそりと立ち上がる。
カラン!!
ピストルの弾が床に落ちた。
うそ!? 跳ね返したの?
「僕のエージェントスーツは、あなたが内調をやめた後で開発されたもの」
村井が後退る。
「その素材は、日本の科学技術の粋を集めて開発された
44マグナムを豆鉄砲って……
日本の科学技術バネェ……
「ちょ……ちょっと待て……せめて刀ぐらいは拾わせてくれ」
村井が刀を拾う間、糸魚川君は待ってあげた。だが、結果は今朝と同じく、峰打ちで倒されて終わりだった。
「すごい!! 糸魚川君」
「ふん。まあ少しはやるようだな」
トントン。ん? 誰? 肩を叩くのは?
振り向くと、そこには鬼のような形相のリンダが立っていた。
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