第34話 首輪メモリー

「ねえ、リアル。なんかいい復讐ない?」

「ううん」


 リアルはしばしの間考え込んだ。


「そういえば、あいつから臭いがしたな」

「臭い? なんの?」

「煙草」

「煙草!! まあ、あいつならそのぐらいやってそうね」

「あいつが煙草吸ってる写真を撮って、先生に見せてやるというのはどうだ?」

「どうやって? あいつだって人前で煙草吸うほど馬鹿じゃないよ」

「もちろん隠し撮りだよ。ちょっと俺の首輪の飾りを引っ張ってくれ」

「え?」


 リアルの首輪には、ウズラの卵ぐらいの大きさの飾りが着いている。

 あたしは言われるままにその飾りを引っ張った。

 あれれ? 首輪と飾りを繋いでいるひもが伸びる?


「次は飾りの上に着いてるポッチを押してくれ」


 ポッチを押すと飾りが外れた。

 外れた後の紐の先に着いてるのは……


「USB端子?」

「それをパソコンにつないでくれ」


 パソコンにつなぐと、何かのソフトをインストールし始めた。


「どうなってるのよ? あんたの首輪」

「一種のコンピューターになってるんだ」

「コンピューター?」

「俺の脳にはチップが埋め込まれていて、首輪は常にチップと情報をやり取りしている」


 リアルが説明している間にインストールが終了する。

 そして、パソコンの画面に現れたのは……


「ええ!? あたし?」


 パソコンの画面に映ったのは、紛れもなくあたしの顔だった。


「うそ? どこにカメラが?」


 あたしの顔は下から映されていた。と言う事はカメラの位置は……


「リアル!?」


 あたしはリアルの毛をかき分けてカメラを探した。


「にゃにゃ!! そんなとこ探したってカメラはないって」

「じゃあこの映像は?」

「今、俺が目で見ている映像だよ」

「ええ!? そんな事ってできるの?」

「まあ、一般には知られてないけどな」

「凄い」

「他に、こんな事もできる」


 映像が急速に巻き戻されていく。

 学校の映像が出た。


「首輪のメモリーに過去二十四時間の映像が入ってるんだ」

「へえ」

「次は飾りを拾ってくれ」

「これにも何かあるの?」

「それはインターネットに接続するアンテナになっているんだ」

「ええ!?」

「それを使えば、パソコンや携帯に映像を送れる」

「ちょっと待って。それってヤバくない?」

「んにゃ? なにが?」

「それから電波を出したりしたら、内調に居場所がばれるんじゃないの?」

「んにゃにゃ!! 忘れてた!!」


 おいおい。

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