第18話

「うん」

 幸子は増永に抱きついた。

 増永には何度も抱かれた。今日もここで抱かれる予定だった。

 増永が遅刻しなければ、こんなことにはならなかったのに。

 学校でいじめ続けられた幸子は、何かあったときのために増永に自分の体を好きにさせていた。

 増永のセックスは幼稚で、すぐに頂点に達した。

 大人を相手にしていた幸子にとって、増永は簡単にいいなりになるおもちゃだった。

 猿が慌てて逃げようとする。

「逃げてんじゃねえよ」

 増永が立ち上がった猿に何度も蹴りをいれる。容赦のない男の蹴りに猿はうめき声をあげた。

 猿の手には何も握られていなかった。

 幸子は猿が握っていたカミソリをさがし、取り上げる。

 そして、すばやい動きで猿に近づき、猿の腕を、足を何度も切りつけた。

「ぐふっ!」

 そのたびに猿は大声をあげ、のたうち回った。

 その様子を見ていた手下の二人が逃げようとする。

 幸子は増永の蹴りで弱っていた二人を押し倒し、その四肢を必要に傷つけた。

 周囲の渇いた土が血で染まっていく。

 幸子は狂ったようにカミソリをふるった。

 きゃっ! という悲鳴と血しぶきが周囲に飛び交う。

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