昔の記憶がないので俺は俺のヒーローになります

ふるとり

序章

出会い

「うぐぐぐぐぐ」


眠い、頭痛い、仕事行きたくない、還りたい


今日も元気に挨拶の自堕落フレーズを頭の中に思い浮かべる俺こと渡部ワタルは布団を被りなおす



「ん、んん?」

こころなしか布団が柔らかい気がする



「やっと起きたわね」

こころなしか女の声が聞こえた気がするが

まぁ、妄想の延長だろう

……言ってて自分で悲しくなる



「ちょっと、何また寝ようとしてんのよ」

…こりゃ相当疲れてるな



そっと目を開けてみる

見えたのは天井




あれ、あんなに天井綺麗だったか…?



ふっと右を向いてみる

「机…?」

あんな勉強机うちにあっただろうか



恐る恐る左に目を向ける

「……何見てんのよ」

俺はその声の主を見たまま硬直した


と言っても見えたのはスカートの

裾部分だけだったが



「やめろって言ってるでしょ!!」

「いや言ってないだろ!」

俺は反射的に飛び起きて声の主と対面し、



クラっときた



目鼻立ちが整い、長いマロンカラーの髪を輝かせ、制服をまとって、怪訝にこちらを見つめ美人女子高生の姿がそこにはあった




「うヴぉう」

あまりの衝撃に体もクラっときている

「ちょ、ちょっとなにぶっ倒れようとしてんのよ」




一つだけわかったことがある

ここは俺の部屋じゃないらしい














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