ゆうえんち、……のその後だよね?
《……ばん。かばん!かばん!かばん!!》
「……ん?う……。」
誰かが、〝ぼく〟を呼ぶ。
ゆっくりと目を開くと、目に付いたのは、夕闇迫る静かな砂浜。
その横に、点滅する、腕時計のような物が転がっていて。
声を発している。
「……あ、ラッキーさん……。」
ぼくは気付いて、立ち上がり。
そっと、歩み寄って、手に取って、腕にはめる。
「!……あ。」
気付くことは、ぼくの服とか砂だらけ。払い落として。
また、払い落として分かったのなら。
ぼくの手にあった、手袋や。
履いていたストッキングがなくなっていることで。
それ以外は無事だけどね、短パンとか、赤い半そでシャツとか。
咄嗟に、帽子はと……。あ、被っていた。それと、ぼくの鞄……。
鞄はと気付いて探して、また背負う。
「……ええと。」
そうしていくうちに、ぼくは我に返り、思考だって戻ってきて。
「……ここは?ぼくはどうして?」
周りを見渡しながら、呟いている。
ゴコクエリア……かな?見渡しながら、思考を回しながら呟くに。
《ここは、キョウシュウエリアだよ。かばん。》
「?!えぇ?!で、でも、……何でまた、戻ってきたの?」
ラッキーさんは、言ってくれることには、ぼくが旅立った場所だとしても。
でも、疑問が。ぼく、確かに海に行ったよね?なのに、何で戻ってきたのかな?
そこの記憶が、ない?何で?
《緊急事態を説明するね。サンドスターレベルが、定量下限値未満なんだ。》
「?!ええと、それって?!」
ラッキーさんは、ぼくの疑問よりも、緊急事態を言ってきて。
それだとと思いつつも。
何がという疑問もあって、ぼくはよく分からないでいる。
《サンドスターがほとんどなくなったという状態だよ。早く、フレンズたちを濃度のある場所まで誘導しないといけません。》
「!!……それって、まさか……!!」
聞き返すと、サンドスターがほとんどなくなったとして。
耳にして、ぼくはぎょっとする。それが意味するのを、知っているから。
そう、フレンズがいなくなってしまう。
フレンズは、サンドスターがなくなると、動物に戻ってしまう。
たしかに、緊急事態だ。
……でも、何で?
サンドスターが枯渇するようなことって、あったの?思いつつも。
「!!!!」
それが意味することに、過敏に反応する事柄があり。サーバルちゃんのこと。
そう言えばと、今になって気付いて、探して。
ぼくは、走り出す。
「?!うわぁ?!」
そうした所で、何かがぼくの足に引っ掛かり、ぼくは盛大に浜辺に転んでしまう。
「……うぅぅ。」
痛みは、幸い砂浜だったからなかったけど、恥ずかしさに涙しそうに。
「……。」
でも何で?として、ぼくの足を引っ掛けたのを見ると。
「!」
人、だった。フレンズじゃない、ぼくと同じ、耳も尻尾もない。
普通に人間の姿の。
持ち物も、どこか似ているかも。帽子を被り、鞄を持ち。
まあ、鞄は、ぼくのとは違い肩掛け鞄のようだけど。
人だったとするなら。
ぼくは、そっと手を当てて、優しく揺する。
「……ん?」
その子も、気付いてくれたようで。
それには、安堵する。よかった、生きている。
その気付きに、その子は次第に目を覚ましていき。
「……あ……れ?」
「よかった!無事なんだ!」
「……ここは?」
ぼくに何か聞きたく、口を動かしてくる。
ぼくは、意識を取り戻したことにも、ほっとして。
だけど、その子は何事とばかりに、目を白黒させるだけで。
どこなのかと、聞いて。
「!……っと、ごめんね。ええとね、ここはジャパリパークだよ。」
「?……ジャパリ……パーク?」
つい、人と出会えたと喜びもあって、忘れてしまいそうになったけれど。
知らないならと、ぼくは言ってあげる。
反芻するけれど、実感がまだ湧かないようで、キョトンとしたまま。
「……ええとね、アニマルガール……だったかな。何だかね、動物の特徴を持った、女の子たちがいるテーマパーク……だよ。」
「えぇと、はい……。」
その子は、キョトンとしつつも、話を聞いてくれた。
「……でも……。」
ぼくは、顔を落として。
今は、とんでもないことになっているとして。
そう、サンドスターがなぜか枯渇して、大ピンチになっている。
それを知っているからテーマパークだとしても、楽し気にはなれないや。
「ちょっと、トラブルがあって。ええとね、ええと……どうしよう。」
そこで、トラブルなのだからと。
ぼくはこの子をどうしようかと思考を迷わせてしまいどうにもできなくなった。
「!……大変!……ええと、僕も手伝います。何をすればいいですか?」
「!あ、うん。……ええとね……。」
トラブルを伝えたなら、その子はぼくの様子に、ピンチだと気付いて。
率先して言い出してきた。
そう言われると、と。
でも、どうしよう。
見渡していたら。
「!」
他に沢山の人影?を見付ける。
けれど違い。横たわっている様相ながら。
よくよく見れば、動物の特徴を持った、そんな容姿をしている。
フレンズたちだ。
そうだと思い。
「ええとね、あそこに横たわっている、アニマルガールって言うんだけど、その子たちをどうにかして、運びたいの。……大丈夫かな?」
「!はい、わかりました!僕、頑張ってみます!」
「ありがとう!」
とにかく、フレンズたちを運びたいと。
その子は、聞くなら、ピンと来て。
頷いて応じてくれる。
これならと、ぼくは、ピンチのこの状況に、よかったと思えて、笑みを浮かべた。
そうして、別れて。
ぼくもまた、フレンズたちを探して。
「!」
と、独特な足音を立てて、沢山のラッキーさんたちが集まりだしていく。
「……?」
けれど、ぼくに一瞥することもなく。
集まったなら、瞳を輝かせだして。
「!えぇ?!」
すると、横たわるフレンズたちが、光る泡のような物に包まれるのを目にした。
何事と思いつつ。
《かばん。サンドスター流出を送らせるために、バリアを張ったよ。急いでバスに積んで、火山の近くに連れて行くよ。》
「!!う、うん!」
《足りないから、動かせる乗り物、全部持って来たよ。》
「!わぁ!」
手元のラッキーさんが言うことには。
サンドスターのこれ以上の流出を抑えるために、何らかのバリアを張ったらしく。
おまけに、その状態にして、バスに積んでいこうとまでも。
また、周辺にいるフレンズの数じゃ、バスに乗り切れないからとして。
沢山のラッキーさんを呼び寄せるついでに、乗り物まで呼び寄せていたらしい。
沢山の明かりや、エンジン音が響いて、ぼくたちの側に集まっていく。
頼もしさに、ぼくは感嘆の声を上げた。
傍ら……。
「あ、あの!!!」
「!」
後ろから声が掛かり。
振り返り見れば、さっきの子で。
また、その腕には、虹色でその子が隠れるほど大きな球体を抱えている。
「……!!」
見て、まずいと思ってしまう。
それは、フレンズがフレンズじゃなくなってしまう寸前の現象であると。
コノハ博士から、聞かされていたのだけれども、誰かが、動物に戻ってしまう!
「これ、何ですか?僕が倒れていたすぐ側にあったんですけど……。」
その子は、不思議そうに聞くけれど。
「わ、わぁ!大変だ!ふ、フレンズが、フレンズじゃなくなる!!!」
「?!え、えぇ?!な、何です?」
説明するのもそこそこに、ぼくはとにかく、大ピンチだとして。
慌てて、走り寄っては観察して。
「ええと、ええと……!!」
どうにかしないとというピンチに、思考を巡らせて。
おまけとして、鞄を手に、まさぐりだす。
何か、こう、どうにかできる方法はないかな!
「!あ!」
ぼくが気付くことには、丁度鞄の中に入れていてた、ジャパリまんで。
フレンズたちの食べ物。
……運よく、ぼくの鞄に入っていたんだ。って、それよりも、として。
これを、どうしようか。
よく分からないままぼくは、その虹色に輝く球体に、押し込んでみた。
「!」
すると、ぼくの手にしていたジャパリまんは、溶けるように消えていき。
「……ん!みゃ!」
「……ん?」
入れ替わりに、声が響いてくるなら、聞き覚えのある声で。疑問に首を傾げて。
そうしていると、球体が形状を変えていくように、蠢きだす。
「!」
慌ててぼくは、その球体を砂浜に下ろしたら。
形が象られて。
「!!!」
見慣れた形となっていく。
長い耳、太めの尻尾。
斑点模様のある、服、スカート。
まさしく……。
「サーバルちゃん!!!」
ぼくはその名前を叫んだ。
そう、サーバルちゃんだ。
サーバルちゃんは、象られていく中。
ぺろぺろと自分の口の周りを、猫みたいにして舐めていて。
完全に象られたなら、輝きが消えて、いつもの姿をぼくに見せる。
見てぼくは、安堵に笑みを浮かべた。
「みゃ?」
「サーバルちゃん!!サーバルちゃん!!!ああ!!」
ぼくは、サーバルちゃんが顔を上げた瞬間に、抱き締めて。
涙を流す。でも、何でだろう?
それも、感涙の感涙、積もりに積もったほどの喜びに。
なお、何でそこまでというほど涙したのか、分からないや。
嬉しいのは分かるけれど。
「?!か、かばんちゃん、どうしたの?どっか痛いの?!」
「!!サーバルちゃん、覚えていたんだ!」
さらに嬉しいことには、ぼくのことを覚えてくれていたと。
耳にして、ぎょっとして。
抱擁を解いて、じっと見つめたら。
「変なかばんちゃん!何だか、ずっと会っていなかったみたいな感じだね!」
「……あはは!」
言い出すことには、不思議だとされて。
言われると、自分でもおかしくなり、ぼくもまた笑みを浮かべた。
「わ、わぁ?!」
「!」
「みゃ?どしたの?」
そんな折。
ぎょっとし声を、誰かが上げて。その方を見れば、さっき、ぼくが頼んだ子で。
その様子は、見付けた虹色の球体が、全く別の物に変化したのだからとして。
驚きを示している。
「こ、これって?何で?……えぇと……?!」
どれほどのショックか、その子は口をパクパクさせていて、状況が掴めない様子。
「あ!かばんちゃんみたいな、人の子だぁ!」
なお、サーバルちゃんは気にせず、珍しさに。
それと、ぼくが探している存在を早速見付けたと、自分のことのように喜んで。
今にも、飛び掛からんとしてきた。
その勢いに。
「わ、わぁぁ!!た、食べないでください!!」
その子は、食べられそうになると思い、つい、ぼくが口にしたようなことをして。
「えぇ?!食べないよぉ!!」
「……あはは。らしいね……。」
サーバルちゃんは、返答に、やっぱり同じことを口にして。
端から見ていたら、らしいやと笑みが浮かんでしまう。
「……ふぅ。よかった。こ、これがフレンズですか。」
「!うん。」
その子は、襲われないと安心しては、これがフレンズなのかと納得してくれる。
ぼくは、その通りだと頷いた。
「……つまりは、その虹色に輝く球体も、回収した方がいいって、ことですね?」
「!うん。あ、そうだ!」
それなら安心して、探す対象なのかと納得してもくれる。
その時に、ぼくははっと我に返った。
忘れかけていたけれど、そうだったと。
「!!えぇ?!何があったの?!」
「!」
また、サーバルちゃんは、話が分からない様子で首を傾げてくる。
そうかと思い、ぼくはサーバルちゃんを見つめて。
「ええとね、何だかね、サンドスターが次々と枯渇しているんだって!だから、急いで助けないと。」
「!!ええ?!大変!」
説明するなら、これからやるべきことを告げて。
サーバルちゃんは、ぎょっとしながら、事の重大さを理解してくれたよう。
「じゃあじゃあ!!助けないと!」
それならと、サーバルちゃんは立ち上がり。
率先して働こうとしてくれて。
「!!……だ、大丈夫なの?!だって、さっきまでああなっていたから……。」
それは余計に心配になる。
さっきまで、サンドスター不足による、フレンズ最終段階だったのに。
「大丈夫大丈夫!元気100倍!だって、かばんちゃんの〝気持ち〝入りジャパリまん食べたから!」
「?!えぇ?!あ、あの時見えていたの?!」
返答は、大丈夫だとして。
おまけに、こそばゆいことを言ってくれるなら、にっこりと笑みまで浮かべて。
耳にしたら、ぼくは耳まで赤くなりそう。
見えていたのだろうか?
「ううん。感じたの!」
「……そ、そう。」
そうではなく、感じたらしいと。そうなの、としておくことにするよ。
「……。」
まあ、そこはサーバルちゃんらしいねとして。
そっと笑みを浮かべて、頷いた。
「……!」
その話もそれほどにしてと。
サーバルちゃんは元気を示すように、ぼくに手を差し伸べてくる。
頷いて手を取ったら、ぼくを持ち上げて。
「それじゃ、早く助けよう!ねっ!」
「!!うん!」
言って、促してくる。
ぼくは頷いて、フレンズたちを助けるために、駆け出す。
砂浜を、近くの森を。
さらにぼくらは、他の地方をも駆け抜けて、助けていく!
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