今日も延々と

なんてことを考えながら、私は今日も延々とノートパソコンに向かう。


<読者の声>を聞かない私は、当然、クレームの類にも耳を貸さない。


それに、クレームに耳を貸した結果、何が起こったのか、具体的な例がいくつもあるよね?


一つのクレームを聞き入れたら、次から次へとクレームが押し寄せた。


些細な表現にまでクレームが入るようになり、出版社も作者もそれを恐れて無難なものに逃げるようになった。


テレビとかでも、野心的、挑戦的な内容の番組が作られなくなって、とにかく手っ取り早く視聴率が取れる堅実なものばかり作られるようになった。


原作付きアニメがほとんどになったのも、それかなって思ってる。


下手に売れるかどうかも分からない全く新しいものを作るよりは、固定ファンがいて一定数の利益が見込める漫画や小説を原作にしてってことなんじゃないの?


『新しいものに挑戦したって、<面白いもの>を作ろうと頑張ったところで、どうせ難癖つけてくるのはいる。だったら最初からある程度の利益を見込めるものを作った方がマシ』


って考えるのは、商売でやってるなら当たり前だよね? 


特にアニメの場合は、制作会社とか放送局も巻き込んでたくさんの人が関わって作られるから、そこにかかるコストも漫画や小説の比じゃないだろうしさ。


それだけコストを掛けて作っても、『自分の好みじゃない』ってだけで難癖つけてくるのはいるんだよ? 私だったらバカバカしくてやってられないよ。


私の小説の場合は、基本的には私と担当編集の二人だけで作ってるようなものだし、その私自身が<読者の声>にも<クレーム>にも耳を貸さないタイプだってんで、こうやって細々とでもやってけてるんだよね~。


でもその私が書く小説は、ごく一部のニッチな層に受けるだけ。プロデビュー作だけはまあまあ話題にもなったそうだけど、それっきり。


私みたいに読者の声にもクレームにも耳を貸さないし何言われたって折れないけど多くの人が『面白い!』って思えないものしか作れないのばっかりが業界に残って、それで全体のレベルが上がると思う?


私の周りにも、私のよりよっぽど人気があるものを作れる人はいたけど、その人達の多くが筆を折ったり、ひたすら利益にだけ走ったりしてたよ。


だって、何作ったって難癖付けられるんだから、まともな神経してたらやってけないって。


作ってるのは<人間>なんだよ。そして人間ってのはそんなに強くない。


自分がネットとかでコメントした時にそれに対して反論されたり叩かれたりした時のこと考えたら分かると思うんだけどなあ。


嫌だし気分悪いよね。


それと同じことだよ。


私の好きなアニメや漫画を生み出した人達がそんなことで筆を折ったりするのは嫌だ。


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