第2話 ヒヨコ現わる!

大地は走っている。はい、遅刻ギリギリだからです。青信号に変わる瞬間を狙って走り出す。

「3.2.1、、、今!」

ビュン!!!大地のスタートダッシュは速い。スタートだけは速い。今日も自分の脚が速くなった錯覚に陥りながら大地は学校を目指した。

さぁ、あの角を曲がれば学校はすぐそこ!調子に乗った大地は一時停止せずに身体を目一杯倒して曲がった!


ゴン!!!!!!!!!


大地はぶつかった。

<俺がずっとずっと夢見ていた、女子との出会いがしら衝突!運命的なハプニングがついに俺にも!!!>

朦朧としながら、ふらっと倒れながら大地はときめいていた。と、その2秒後には現実が大地を襲う。

調子に乗って身体を傾かせて走った大地。頭だけが角を曲がれずラリアット風にヒットしただけだった。


大地はよろめいた。痛みより、出会いではなかったのが辛かった。5歩ほど歩いた大地は、膝をついた。


大地は他の人より痛みに弱いのだ。


他者にとっては大したことないが、大地にとっては致命傷。学校を休むレベルである。大地は肩を落とし、血も出ていない頭をたいそう痛そうに抑えながら、家に向かって歩こうと立ち上がった。その時!大地の背後にヒヨコのような可愛い声がした。


?「あのー、大丈夫、、、でしゅか?」


大地は一瞬、格闘ゲームでピンチ中の時に頭上に登場するヒヨコが喋ったのかと思った。しかし、勇気を出して振り返った。


<頼む!可愛い女の子の声であってくれ!>


振り返ると、想像していた30倍可愛いヒヨコのような女の子が大地を見上げていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る