02
 ̄ ̄ ̄ーーー_____
真っ暗な暗闇の中...。
誰かが私を呼んでいる声がする。
「リル!!目をあけて...いなくならないで!お願い...」
この声は、戦友の声...セレナが泣いてる。
セレナは泣き虫だから、大丈夫だよって言わなきゃ...笑顔を見せないといけない。
私は暗闇を出ようと、目を開けた。
あれ?光が見えない...。
目を開けたはずなのに、近くにいるはずのセレナが見えない。
それどころか手すらも、体がまったく動かない。
まさか、あの時の攻撃で...
砲撃による火傷...
たぶん、私の体は火傷がひどいんだ。
動かない、うごかない...。
あれだけの攻撃を受ければ、当たり前だよね。
生きている事すらも“奇跡”。
ーーー今の私に、生きてる価値は?
こんな体では何もできない。誰も守れない。
敵と戦っている、戦争をしている世界にいる意味がない。
私は何故、助かってしまった...?
このままセレナに別れを言わずに、“彼”のところへ逝くべきだろうか。
私は、あの言葉の続きを聞きたい。
でも、セレナはこんな私を呼んでいる。
ーーー私は“彼”よりも、セレナをえらんだ
 ̄ ̄ ̄ーーー_____
...どうして私は、あの時耳をふさいでしまったんだろう...
音もなく落ちてゆく木の葉を見ると、いつも思い出す。
「...僕は君をーーー」
あの時、彼は何と言ったんだろう。
私に何を伝えたかったんだろう。
無理矢理さえぎってしまった言葉の続きは何だったんだろう...。
いくら考えても、その答えはわからない。
もう私には、それを知るすべはないのだから...。
 ̄ ̄ ̄ーーー_____
そして、戦争は終わった。時間が進む。
それでも、私の体は動く事は無い。
取り戻せたのは視力だけ...。
窓の外。音も無く落ちていく木の葉を見ると、無性に...。
あの戦いの日々、私が殺してしまった“彼”の事をいつも思い出す。
今の私に“彼”のもとに逝く手段はない。
動かせないどころか、感覚すら無い私の体...。
それにあの時、私を呼んでいたセレナはもういない。
自分で自分の命を絶ちたいというのに、体は動かない。
私はいつまで“彼”とセレナにとらわれて生きればいい?
「この現実は、まるで地獄...」
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