随筆四:不倫は文化だなんて認めん!

心桜「誰が言い始めた事か知らんけど、あたしは認めん! 認めんぞ!」

七夏「どしたの? ここちゃー?」

笹夜「心桜さん、荒れてますね・・・」

美夜「ここ先輩、どうしたんですか?」

衣夜「お、怒ってるのかな?」

心桜「里河さん、怒ってる訳じゃないから・・・」

笹夜「何があったのかしら?」

心桜「突然ですが、不倫は文化だと思う?」

七夏「え!?」

笹夜「まあ!」

七夏「えっと、不倫は良くないと思います」

笹夜「そうね・・・」

美夜「何かと思ったら、不倫ですか?」

衣夜「どおして急に、そんなお話に?」

心桜「いや~、なんとなくお昼にテレビ見てたら、いわゆる昼メロにエンカウントしてさ・・・で、その役者が不倫は文化だなんて話すから」

笹夜「ドラマのお話ね♪」

心桜「そうです! つっちゃーは、不倫は良くないって答えたけど、それはなんで?」

七夏「え!? 悲しむ人が居ると思ったから・・・」

美夜「ここ先輩も、認めないって事は、良くないと思ってませんか?」

心桜「そうなんだけど、あたしは、ご都合主義的な所が気に入らないっ!」

笹夜「では、心桜さんは不倫そのものは、認めるのかしら?」

心桜「認めたくはないけど、どうしようもない事もあるのかなーって」

衣夜「どうしようもないこと・・・」

笹夜「人を好きになる気持ちの事かしら?」

心桜「そうそう。ドラマ見ててさ、好きになってしまったんだから、しょうがないでしょ! ・・・って言うのも、分からないでもない」

衣夜「抑えられなくなる気持ちが、考えるよりも先に行動になってしまうのかな?」

心桜「そうだねー、抑える事が出来たら片思い。抑えられなかったら不倫という事」

美夜「お姉ちゃんはどう思う?」

笹夜「不倫は、道徳に反することなので、七夏ちゃんと同じく良くない事だとは思います」

心桜「ん? 良くない事だとは・・・という事は? 言い切れていない?」

笹夜「心桜さん、鋭いですね。 不倫そのものが必ずしも良くない事かと問われたら、そうでない場合もあるのではないかしら?」

七夏「え!?」

心桜「どうゆうことでしょう?」

笹夜「まず、道徳とは、社会で人が善悪を判断するする為の規範の総体。法律とは違って強制力はなく、個々人の内面として働き、人間相互の関係が規定されることかしら?」

心桜「・・・つ、つまり?」

笹夜「さっき、七夏ちゃんがお話した、不倫で悲しむ人が居るから良くないって言うのは、道徳が働いている事になります」

七夏「あ・・・」

美夜「悲しむ人が居なければ、不倫は問題なくなるって事?」

笹夜「ええ♪」

心桜「な、なんですとぉー!!!」

衣夜「ひっ!」

心桜「あ、ごめん。里河さん!」

衣夜「い、いえ、少し驚いただけですので・・・」

笹夜「そもそも、不倫が良くないという問題になるのは、当事者で納得できない人がいるからです。全員が納得していたら、問題にはなりません」

心桜「全員が不倫を認めていたらって事?」

笹夜「ええ」

心桜「なんか、ヤだなぁ」

笹夜「私達の居る国では、法律で婚約できるお相手は、ひとりと定められています。その事が、好きになっていい人は、ひとりだけという固定観念に結びついているのではないかしら?」

美夜「確かに、好きな人が複数居ても、不思議ではない気はするよ」

衣夜「美夜ちゃん?」

笹夜「一夫多妻制という法律のお国もありますから、そういう世界では、不倫が不倫にならない事もありそうです」

心桜「笹夜先輩は、不倫は文化だと認めますか?」

笹夜「人が人を好きになる事は、文化のひとつです。不倫もそういう意味では文化になるのかも知れません」

心桜「な、なんですとぉー!!!」

笹夜「心桜さんは、不倫は文化という言葉が言い訳のように聞こえるから、認められないのではないかしら?」

心桜「! ・・・ってことは、あたしが認めんのは、言い訳という事!?」

笹夜「道徳的に良くない事だと分かっていて、悲しむ人が居るのに、言い訳の様に自分を正当化している態度が、認められないのではないかしら?」

心桜「・・・・・」

七夏「ど、どしたの? ここちゃー?」

美夜「ここ先輩! おーい!」

衣夜「だ、大丈夫ですか?」

心桜「・・・不倫は文化だったなんて・・・」

七夏「え!?」

心桜「誰が言い始めた事か知らんけど、あたしは認めん! 認めんぞ!」

美夜「あ、ふりだしに戻った」

心桜「そう言えば、すごろくで『ふりだしにもどる』を食らった時さ、なんであたしだけふりだしに戻るの? みんな全員、世界そのものがふりだしに戻ればいいのにって思わない?」

七夏「それも、すごろくの決まりごとかな? 私、ここちゃーと一緒なら、ふりだしに戻ってもいいです☆」

心桜「い、いや、そーゆー事じゃなくて」

笹夜「~♪」

美夜「ここ先輩も、お姉ちゃんにはなかなか歯が立たない!?」

心桜「そりゃあ、先輩ですから!」

笹夜「私、心桜さんに適わない事、たくさんあります」

心桜「はは・・・コメントに困ります」

衣夜「あのー」

心桜「ん? 里河さん、どおしたの?」

衣夜「その・・・ドラマの結末は、どうなったの?」

心桜「それがさぁ・・・その不倫相手が異母兄弟だって事が発覚して、自然に解消してしまったって訳」

笹夜「どおして、異母兄弟だと自然解消になるのかしら?」

心桜「そりゃ、兄弟で結婚できない・・・って、まさかっ!」

笹夜「ええ♪ それは、この国の法律で決められた事です。もし、兄弟で婚約出来ないという縛りがなければ・・・」

心桜「うっひゃ~! そっちの方が昼メロ展開としては燃えるかも!?」

美夜「ここ先輩、燃えなくていいですって」

心桜「だけどさ、異母兄弟って事は、親の不倫で生まれた子・・・その遺伝子を受け継いだって事か・・・つまり!」

美夜「つまり?」

心桜「これは、不倫や当事者や法律や道徳が悪いわけではない・・・遺伝子が悪い!」

衣夜「美夜ちゃん」

美夜「どした? 衣夜っち?」

衣夜「なんか凄い方向に」

七夏「遺伝子は、文化なのかな?」

笹夜「文化の元かしら?」

心桜「もー遺伝子が原因なら、しょうがないなぁ~って、なるよね?」

美夜「なるんですか?」

心桜「なるかっ!」

美夜「どっちなんですか?」

心桜「一瞬、なるかと思ったんだけど、遺伝子に責任を転嫁しているその根性が気に入らないから、結論は、不倫は認めん!」

七夏「くすっ☆」

笹夜「七夏ちゃん、どおしたのかしら?」

七夏「えっと、ここちゃーは、こういうお話そのものを楽しんでます☆」

心桜「つ、つつ、つっちゃー!」

美夜「ここ先輩は、水風先輩にも適わない!?」

心桜「はは・・・適いません、あたし最弱!」

衣夜「天美先輩、とても複雑な表情・・・」

美夜「喜怒哀楽を同時に表現できる人、初めて見たよ」

笹夜「まあ、不倫は文化だと、言い訳する時点で、良くない事だと認めているのは確かですから、文化であったとしても、人を悲しませるような事をなさらないことが、大切な事だと思います♪」

七夏「はい☆」

心桜「笹夜先輩、上手くまとめられますねー。さすがラスボス!」

美夜「ウラボスだよ。ウラボ---」

笹夜「美夜!」

美夜「なんで、あたしだけ注意されんのさ」

心桜「姉権限・・・」

美夜「先輩権限は?」

心桜「あたし、美夜っちの先輩だから!」

美夜「あたしは認めん! 認めんぞ!」

衣夜「こ、今度は美夜ちゃんが・・・」

心桜「つっちゃー!」

七夏「な、なぁに? ここちゃー!」

心桜「今回、あんまり発言してないから、次回は頑張るんだよ!」

七夏「は、はい☆」

心桜「んでは! つっちゃーが頑張ってる前作『翠碧色の虹』本編はこちら!」

心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_frma_a.htm」

心桜「そして、あたしと笹夜先輩も頑張る『ココナッツ』宛てのお便りはこちらです!」

心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_suiheki_novel.htm#QUESTIONNAIRE」

衣夜「わ、私も頑張らなきゃですよね?」

心桜「里河さんは、続編の翠碧色の虹・彩、本編で頑張ってると思うよ」

衣夜「そ、そうでしょうか?」

心桜「そうですそうです♪」

七夏「くすっ☆」

心桜「そう言えば、つっちゃーよりも、頑張って貰わなければならないヤツが居た・・・おーい! 原作者! 頼むよ!」


随筆四 完


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随筆をお読みくださり、ありがとうございました!

今後とも、どうぞよろしくお願い申しあげます!

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