随筆三:好きなのにいじめるの?

心桜「あーこれ・・・こういうヤツいるよねー」

七夏「え!? どしたの?」

笹夜「心桜さん。それは・・・お手紙かしら?」

美夜「こういうヤツって、どういうヤツですか?」

衣夜「いじわるする人?」

心桜「おっ! 里河さん鋭い!」

衣夜「え!?」

心桜「切れ味は笹夜先輩で、鋭さは里河さんって事なのか? そういう路線なのか?」

七夏「路線の事なら、お父さんが詳しいかもです☆」

心桜「い、いや。リアルな路線の事ではなくて!」

美夜「ここ先輩、いじわるする人が、どうかしたのですか?」

心桜「あーそれは、この手紙を読めば・・・」

笹夜「心桜さん、歩き手紙は危ないです」

心桜「歩き手紙・・・歩きスマホみたいな言われ方! まあ、確かに危ないかも・・・気をつけます!」

笹夜「ええ♪」

心桜「んじゃ、改めてお手紙を読むね!」

七夏「はい☆」

心桜「ペンネーム、クラスにひとりさん『皆様、こんにちは。私のクラスに、私の事をよくからかったり、いじわるしてくる男の子がいます。その子は、私以外にもいじわるしていたりしますが、特に私に対しては、よくからかってきます。なんとか止めさせる方法はないでしょうか?』・・・という事だそうです」

七夏「どおしてかな?」

心桜「いやいや、つっちゃー! これは、あれだよ!」

七夏「あれ・・・どれ?」

笹夜「七夏ちゃん、きっと、その男の子は、お手紙主さんの事が気になっているのだと思います」

美夜「よーするに、好きって事です!」

心桜「さすが美夜っち、直球だねー。美夜っちは直球キャラで、つっちゃーは天然か・・・あたしはなんだろ?」

美夜「ボケとツッコミ・・・」

衣夜「み、美夜ちゃんっ! すみません! 天美先輩!」

心桜「はは・・・間違ってないかも・・・」

笹夜「もう、美夜ったら・・・」

七夏「どおして、好きなのに、いじわるするのかな?」

心桜「どおしてって・・・どおして?」

七夏「柚樹さんは、とっても優しくて、いじわるなんかしないです☆」

笹夜「人に依るという事かしら?」

美夜「好きな人に優しくできる人と、出来ない人・・・この三つに分けられます!」

心桜「なるほど、三つね・・・んで、あとひとつは?」

美夜「後ひとつは・・・衣夜っちにおまかせ!」

衣夜「え!? わ、私!?」

心桜「はは・・・里河さんも大変だねー」

衣夜「えーっと、な、何も行なわない人!」

笹夜「まあ!」

心桜「おー! 確かに!」

美夜「ねっ☆」

七夏「くすっ☆」

心桜「なるほど、里河さんは、好きな人を、ただじっと見つめるだけの人って事?」

衣夜「ど、どおしてですか?」

心桜「無茶振り時、咄嗟に出てくる言葉は、その人の本質を表してたりするからね」

衣夜「そ、そうなのですか?」

七夏「お手紙の人にいじわるする人って、本当に好きなの?」

心桜「多分、だけど、関わりたいんだよ」

笹夜「でも、素直に関わるのは恥ずかしいから、ちょっといじわるしてしまうのかも知れません♪」

美夜「まー好きな人に関わりたいというのは、分かるけどね」

衣夜「素直になれない・・・か」

美夜「好きなのに、好きって言えない、もどかしさ」

心桜「美夜っち、五七五を意識した?」

美夜「途中で気付いたけど、あえて変えずに強行した」

心桜「さすが直球!」

美夜「そんなつもりないのに、このままだと駄洒落になってしまうー的な事って、あったりしませんか?」

心桜「スキー好き? つっちゃー!」

七夏「え!? すき焼き好きかな?」

美夜「箸は端っこに置かない!」

笹夜「な、何かしら?」

美夜「お姉ちゃん! ここは何かひとつ寒い駄洒落を言う流れでしょ!」

笹夜「そんな急に言われても・・・ま、まっさらのお皿・・・」

心桜「切れ味が落ちた! 里河さん! 助けて!」

衣夜「え!? か、華麗なカレー・・・」

心桜「おー! あったまきた! じゃなくて温まってきた!」

七夏「今日のお夕飯は、カレーにしようかなぁ☆」

心桜「いいね!」

七夏「くすっ☆ では、みんなで一緒に☆」

心桜「わぁーい!」

笹夜「えっと、そろそろいいかしら?」

心桜「はい! 舵取りすみません!」

笹夜「どうすれば、いじわるを止めさせられるかについて、何か方法はあるかしら?」

美夜「止めろ! 大声出すよ! ってのは?」

笹夜「それは、逆効果ね。きっと『好意的ないじわる』から『悪意的ないじわる』に変わってしまいます」

衣夜「わたしの事、好きなの? だったらどうかな?」

美夜「は? 好きなわけねーよ! 自意識過剰なんだよ! ・・・って、なるよ」

衣夜「そう・・・」

笹夜「でも、里河さんの方法は、かなり効果的だと思います♪」

心桜「え!? 逆撫でにならない?」

七夏「好きだったら、優しくしてくれると嬉しいな☆」

美夜「水風先輩に言われたら、解決するかもだけど、あたしの場合は・・・」

笹夜「美夜、分かっているのなら、もう少しお淑やかに---」

美夜「無理っ! あたしがあたしでなくなる!」

心桜「はは・・・ま、クラスにひとりさん。とりあえず、いじわるしてくる人に、自分の事が好きなら、いじわるを止めてって話すことかな?」

美夜「もし、好きじゃなかったら?」

心桜「今後とも、変わらずよろしくお願いします!」

笹夜「心桜さん・・・」

心桜「いやいや、変わるって、好きだって! だから、好きじゃないという選択肢は無い!」

七夏「くすっ☆」

心桜「だから、クラスにひとりさん、言う気を持って頑張って!」

笹夜「勇気・・・かしら?」

心桜「なんで分かるんですか・・・って、これもお約束だね」

七夏「おたより、ありがとうございました☆」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


美夜「そう言えば、なんで、クラスにひとりずついらん事するヤツが居るんだろ?」

衣夜「先生も上手いこと振り分けてるよね」

心桜「そうとは限らないよ?」

美夜「え!?」

心桜「クラスにひとりではなく、そいつが居るからひとりなんだよ」

衣夜「どういう事ですか?」

心桜「こんな事例がある。いわゆる『ガキ大将』が、転校でクラスから居なくなったんだよ。するとさ、今まで目立ってなかった人が、ガキ大将っぽくなってきて、そのままガキ大将へと昇格したんだ」

美夜「・・・と言う事は・・・」

衣夜「先生が振り分けているのではなく、クラスごとにひとりずつそういう人が現われる・・・」

心桜「そういう事になるね」

衣夜「エスカレーター方式でしょうか?」

笹夜「エスカレーターでも、下る方のエスカレーターかしら?」

心桜「わわ! 笹夜先輩、砥石あったんですか?」

笹夜「ありません!」

七夏「砥石ならあります☆」

心桜「つっちゃーは、いつのまにか、カレー作ってたんだね」

七夏「くすっ☆ もうすぐ出来ますから☆」

心桜「いつも、ありがとね」

笹夜「七夏ちゃん、いつもありがとう♪」

美夜「水風先輩、ありがとうございます!」

衣夜「ありがとうございます☆」

心桜「んでは! つっちゃーが頑張ってる前作『翠碧色の虹』本編はこちら!」

心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_frma_a.htm」

心桜「そして、あたしと笹夜先輩も頑張る『ココナッツ』宛てのお便りはこちらです!」

心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_suiheki_novel.htm#QUESTIONNAIRE」

美夜「衣夜っち!」

衣夜「な、なに!?」

美夜「衣夜っちも、水風先輩みたいに頑張るんだよ!」

衣夜「う、うん!」

美夜「・・・って、どうしたの?」

衣夜「とりあえず、水風先輩のお手伝いから・・・と思って」

心桜「里河さんも、天然要素あるのかな?」


随筆三 完


------------


随筆をお読みくださり、ありがとうございました!

今後とも、どうぞよろしくお願い申しあげます!

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