第879話 美酒佳肴
夜。
約束通り、
・姫路殿
・小少将
・井伊直虎
の3人と逢引に出る。
護衛には、風魔小太郎が付いている。
夜の千本通りを歩く。
ここは元々、
平安時代、
「自分を地獄の責め苦から救い出す為に千本の卒塔婆を立ててほしい」
と、訴えられたので卒塔婆が千本立てられたという(*1)。
この為、千本通りは「意味を知れば怖い地名」の代表例に挙げられている。
そんな怖い千本通りだが、今は現代同様、飲み屋が並ぶ。
・寄席
・芝居小屋
・映画館
・ストリップ劇場
・劇場
も
・駐車場
・飲食店
・住宅
に変わっている(*2)。
その為、これらの風景を
大河が
直虎が尋ねる。
「……若殿はお飲みになられるんですか?」
「いいや。俺は食べるだけ。皆は飲んでいいからね」
「「「「ありがとうございます♡」」」」
小太郎も有難がっているが、彼女は仕事中なので飲めない。
一行は何軒か見て周り、1番清潔な店に入る。
流石に飲食店なので、衛生重視だ。
小少将が気付く。
「あら、卵が有名なんですか?」
「京だし巻きやね」
だし巻き卵には、2通りある(*3)。
・鍋の向こうから手前へ巻く→「大阪巻き」(一般的)
・鍋の手前から向こうへ巻く→「京巻き」
だ(*3)。
「美味しいですか?」
「甘くて美味しいよ」
「では、食べましょう」
居酒屋に入ると、自然に個室に通される。
大河が有名人であるが故、店側の配慮だろう。
個室に入ると、直虎がメニューを見る。
『・唐揚げ
・ふらいどぽてと
・しーざーさらだ
・たこ焼き
・京だし巻き
・日本酒
・洋酒
……』
「京だし巻きは人数分、頼もうか?」
「「「お願いしますわ」」」
「主、私も食べたいです」
「分かっているよ」
小太郎の分も注文する。
腹が減っては戦は出来ぬ。
小太郎が空腹だと戦力にならない可能性も否定できない。
やがて、日本酒も注文されるようになり、一同は久々にどんちゃん騒ぎをするのであった。
その帰り道。
大河は泥酔した愛妻3人の介抱をしていた。
直虎を背負い、小少将と姫路殿に肩を貸している。
小太郎も久々に飲みすぎたのか、少しふらつき加減だ。
3人は酒臭く、今にも吐きそうなほどだ。
「10
「恐らくですね」
大河以外で1人4・5lも飲んだ4人は、凄まじい酒豪だろう。
「よく中毒にならんな?」
「不思議ですよ」
歩く小太郎は、千鳥足。
何度か
持っている寿司の箱も落としたり、電柱に当てたりしている所を見ると、もう中身はグチャグチャだろう。
「おいおい、小太郎?」
「済みません。主、考え事してて―――」
「俺のこと、考えてた?」
「……はい♡」
図星され、小太郎は笑顔に。
「大丈夫。俺もだよ」
小太郎が嫌がることを大河はしないし、彼女の忠誠心も厚い。
大河は小太郎と接吻を交わす。
「接吻出来ないかと思っていました」
「酒臭いから?」
「はい」
「臭いは嫌いだけど、小太郎は好きだよ」
「♡♡♡」
嫌悪感よりも愛情を優先するのは、実に大河らしい。
2人は何度も接吻しつつ、家路につく。
[参考文献・出典]
*1:『日蔵夢記』
*2:『上京 史蹟と文化』1992年第2号 上京区役所 1992年3月25日付
*3:ウーマンエキサイト 2016年9月13日
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