童顔ドS少年兵が戦国時代でハーレム黒幕になる件。

パンジャンドラム

第0話 転生前夜

 かごの中の八咫烏ヤタガラスは、自分を解き放ってくれる者を待っていた。


 九州北部の姫武将は、夫の首を抱き抱えていた。


 九州南部のくノ一は、未来みらい婿むこの存在を知りもせず、諜報活動ちょうほうかつどう従事じゅうじしていた。


 燃え盛る小谷城おだにじょうの前で、戦国一の美人と三姉妹は、泣き叫んでいた。


 皮膚疾患ひふしっかんを患うくノ一は、その好奇な視線から守ってくれる未来の夫を待っていた。


 ”越後の虎”は、未来の夫を一切想像しないまま戦い続けていた。


 仏道ぶつどうに励む尼僧シスターは、父親の仏壇ぶつだん合掌がっしょうしていた。


 幼馴染のドイツ人は、行方不明の婚約者を必死に探していた。


 欧州の修道女シスターは、貴賤結婚きせんけっこんの将来を知りもせず、神に祈っていた。


 関東のくノ一は、いずれ堕ちる運命を知らなかった。


 南国の王女は、ただただ救世主を待ち続けていた。


 享楽きょうらくふける夫に愛想あいそを尽かした女傑は、家を守る為に第2の夫を探していた。


 島を守る褐色の武将は、嫁ぐ相手を想像しながら海賊と戦っていた。


 宇治川の鬼女きじょは、只管ひたすら、運命の人を探していた。


 ”東国無双の美人”は、必死に家の為に槍を振るっていた。


 戦国一の嫌われ者は、勾玉まがたまに映る転生者を、うっとりと眺めていた。


 蝦夷の名も無きヒロインは、檻の中で俯いていた。


 後の女城主は、寡婦になる事も知らずに、夫と平和な1日を過ごしていた。

 

 戦国最大の裏切者の娘は、父親の心配を他所に自由気ままに生きていた。


 加賀の大女おおおんな妹達シスターズは、仲良く、将来の夫をお絵描きしていた。


 後の歌舞伎踊りの創始者は、妖艶に踊り狂う。


 ……


 転生前夜。

 運命の歯車が動き出すのは、すぐそこまで来ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る