第7話 楽しい探索 〜風薫る林道〜

「わぁ〜 のどかできれいなところだね〜」


大きめの木が立ち並ぶ、およそ林と呼ぶに相応しい場所に着いた。

木々の間隔はほぼ均等に10メートルと言ったところか、公園にある銀杏の木が立ち並ぶ散歩道を連想させる。

もちろん歩くために舗装された道があるわけではないが、なぜか”この通りが歩く道だろう”と直感的にわかり、2人とも自然にその道を進んだ。


「立派な木がたくさんミュ! 木々の隙間から日が漏れてて気持ちいいミュ!」

「見て見て! あの花、少し光ってない? あれ新種かな!?」

「ココ楽しそうミュね! ココは探索の時に目の色が変わるミュ」

「えっへへ〜」


2人とも子供のようにはしゃいでいる。(子供なのだが)

その林は草木の緑ばかりではなく、赤やオレンジと言った淡い暖色で足元を輝かせていた。よく見るようなありきたりの花もあるが、光る花が一層綺麗に林の色合いを際立たせていた。


テラには自然を感じることができる場所が少ない。

宇宙探索の技術が進化したことで機械や科学的な物、あるいは神秘と呼ばれる物が多い星だからだ。

宇宙探索士と呼ばれる職業が出来てから100年を優に超え、その間に革新的な物がいくつも生まれてきた。だが、星の資源は有限…生まれるものあれば失われるものあり、それは自然と呼ばれるものだった。

ココもハミュも普段触れることが少ない自然に心を踊らせていた。


ココは木の根元に咲いている光る花をスケッチしている。

その花は開けた花びらの中心がぼんやりと温かい光を放っている。自ら発行していて、木漏れ日が当たることによって輝きを増しているようだった。


スケッチが一段落し、ハミュの方を見ると何かを気にしている様子が見て取れた。キョロキョロあたりを見回し、時折首をかしげて何かを考えている。


「どうかしたのハミュ?」


スケッチしていると思っていたので、ハミュは少し意表を突かれた気分になった。


「ミュ なんでもないミュ」


この場所に来てから何かが気になり妙に体がウズウズする。この場所になにかあるのかと思い、過去に似た場所を探してみても思い当たらなかった。考えても見渡しても何もないので、気のせいだとハミュは結論付けた。

だから特にココに知らせる必要はない。


ココはハミュの様子を見てなんとなく休むのがいいと思った。

考え事ならゆっくりしながらの方がいいし、考えてみればこの星に落ちてからまだゆっくりしていなかった。ワンポポに会ったことで流れでそのまま林にきたのだ。

だがココがここまで深く考えてなかったので、休むのがいいと思ったのはなんとなくだ。直感的な子。


「休憩する?」

「ん? 大丈夫ミュよ」

「そっか! 疲れたら休憩するから言ってね!」


休憩したいとは思わなかったので断った。

代わりに、自然に囲まれて変わらず上機嫌だったので冗談のひとつも言いたくなった。


「疲れたから帰りt…ミュ」

「ん?何か言った?」


ココはわざととぼけたように返しをする。

ハミュはしょんぼりして言う。もちろんわざとだ。


「別に期待してないミュ…」

「あはは」


楽しい。






・・・・・・・・・・・・・・・






「主様に報告せねば」



少し離れて2人を観察していた影が小さく呟いて奥へと消えていった。

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