第3話 探索せずにはいられない!
寝室の片付けもそこそこにココは操縦室に向かって船の飛行機能などを確認していた。
不時着したにも関わらず、自動操縦機能を含むほぼ全ての機能が問題なく動くようだった。
これらの素晴らしい機能は宇宙探索士たちの功績であると父親から言い聞かされてきたココは、こんなときにも関わらず勝手に感動し宇宙探索士への憧れを強めていった。
不時着したばかりだと言うのにのんきでも逞しくもあるが、ココは単純に純粋で真っ直ぐな中学3年生だ。
ふとココは操縦室の前方の大きな窓を眺めた。
目の前には鮮やかな緑色の広がり、いわゆる草原であった。ところどころ大きな草花が生えている。
なんとものどかで穏やかな草原である。
「ほのぼのとした楽しそうな星だなぁ…あ、あそこでなにか動いた!?」
思ったことが呟きとして口からこぼれていた。
操縦室にはココ1人以外誰もいない…こんな静かなところで1人なのだから仕方ないな、とココは思いつつ持ち前の好奇心がうずうずしていた。
一方のハミュはせっせと外で宇宙船に外傷がないかを事細かに観察していた。
調べ物や機械はハミュも得意だが、すぐに自分が宇宙船の外を調べる担当にしたのは、ココの安全を考えたからだった。
何かあっても船内の方がまだ安全だろうとハミュは思ったのだ。
ハミュはココに借りがある。
まだ2人が小さい頃、ココは気を失って倒れているハミュを見つけ保護した過去があるのだ。そしてそれ以前の記憶がハミュにはない。
今は既に負い目を感じることなくとても仲良く生活しているが、何かとハミュが一步引いた選択肢を取るのは、この過去が無意識によぎるからかもしれない。
そんなことを悶々と考えていると、船の入り口からココが出てくるのが見えた。
「ね、ねぇハミュ」
「ミュ?中で何かあったミュ?」
「え~と…あのね…」
「なんだミュ?」
なんだかココはもじもじしている。
ハミュはじれったくなってきたが、少し嫌な予感もしていた。
「えぇっと~探索………………いかない?」
嫌な予感が的中した。
「ミュ?」
「とか思ったりして……」
ココは純粋がゆえにまっすぐだ。やりたいと思ったことはやらずにはいられない事をハミュは知っている。
無駄だとは思ったがわざと威圧的に凄んで言う。
「ナニイッテルカセツメイシテホシイミュ」
「ひぇぇ…」
ハミュの目が怖い。。。でもココの好奇心はハミュの目は上回った。
「え、えと…危なくなさそうだし…」
「せっかく上陸したんだし…」
ハミュの目が刺さる。
もう少し説得力がある言葉を探しながら最後の抵抗と思いつつココも凄んだ。
「そ、それに!このまま帰れたとしてもお父さんにもっと反対されちゃうから…!」
3秒考えた後、”やはり無理か”と思いハミュは抵抗するのを諦めた。
「はぁ〜〜〜〜…仕方ないミュ ココが言い出したらもう曲げないミュ」
ココの顔が瞬時に笑顔になった。
「やったぁ〜〜〜!!!」
「でも、危険だと思ったらすぐ帰るミュよ! だからしっかり船を調べてからミュ!」
「は~い!」
もうココは上の空だ。笑顔がこぼれ、これから起こるかもしれないとんでもない出来事を予想仕様としている。
対照にハミュはこれからの予期できない出来事が心配で仕方がないといった様子だ。
不満ありという態度をわざと出しつつ注意しておく。
「まったくもうっミュ」
「あはは!」
「でもでも、実はハミュも楽しみだったりしてぇ〜?」
ハミュの心配をわかった上で楽しそうにからかってくる。
わかっててからかうココに少しイラつきながら怒る。
「違うミュ! 早く帰りたいミュ!」
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