わからせおじさんにわからせられないことなんてないんだよ

ちびまるフォイ

わからせおじさんが最後までわからせられなかったこと

「ククク。愚かな人間よ。一人で乗り込んだ度胸は褒めてやろう。

 だがその程度の力で我が魔法の前に立ち向かうことをあの世で後悔するがいい」



パンパンパン!!



「ひいぃ!! 生意気言ってごめんなしゃいいぃ!!

 わかったから! もうわかりましたぁぁ!!」


わからせおじさんの怒涛の布団たたきにより

魔王はわからせおじさんを倒すことができないとわかってしまった。


「強い大人には魔法なんてきかないんだよ」


「もうわかったから布団叩かないでぇぇぇぇ!!!」


パンパンパンパン!!


布団がふっかふかになったところでわからせおじさんは許してやった。

魔王は腰砕けになってそのまま布団で眠った。


「これで世界は平和になったとわからせることができた」


わからせおじさんはさっそうと立ち去ろうとしたとき身動きが取れなくなった。


「ぐっ……なんだ……!? 腕、いや足も動かない……!」


「へぇ~~。あんたがわからせおじさんぅ?」


芋虫のように地面に這いつくばるわからせおじさんを

挑発的な目線で見下してくる少女が立っていた。


「魔王を倒したくらいでなにいい気になってるの?

 あんなの私にかかればすぐに倒せる雑魚だったのよ?」


「この……! 君、早くこれを解きなさい!」


「ダ~メ。私ねぇ、自分より年上のイキがっている男を

 泣きながら懇願させて、その上で負けを認めさせるのがだぁ~いすきなの」


「どうするつもりだ……!」


「考えないほうが幸せかもよ」


少女は嫌味たっぷりに笑って答えた。

指先から何やら怪しい光がわからせおじさんの眉間をとらえた。


「私はね、ずっとこの世界で催眠魔法だけを極めてきたの。

 どんな大人でも、どんな動物でも、私の催眠の前には勝てないのよ」


「どうやら、わからせる必要があるようだな……」


ムクムクムクッ!!


「ど、どういうこと!? どうして立てるのよ!!

 それに私の催眠がきいてないの!? 早く伏せなさい!!」


「わからせおじさんはね、けして誰にも屈さない力があるんだよ」


わからせおじさんの全身に力がみなぎり強靭大人へと変貌を遂げる。

さっきまで勝ち誇っていた少女から笑みが消えた。


「さぁ、わからせタイムだ」


わからせおじさんはおもむろに「メスガキわからせ棒」を取り出した。

その太くたくましい棒は屈服させるには十分すぎる覇気を感じさせる。


「うそ……い、いや……」


逃げようとする少女をわからせおじさんは捕まえると徹底的な教育がはじまった。


「きゃあああ!! ゆるしてぇぇ! もうわかった! わかったからぁぁぁ!!!」




わからせおじさんの徹底教育により、少女は英語をはじめとする

五教科すべての成績をめきめきと伸ばし憧れていた弁護士になることができた。


「ありがとう、わからせおじさん。どうせ自分なんて弁護士になれないって

 自分を納得させるために自分自身に催眠をかける魔法を探していたけど

 夢を諦める必要なんてなかったんだね」


「わかってもらえたようだな」


「わからせおじさんの勉強の教え方、すっごくわかりやすかったもん」


「わからせ棒のおかげだよ」


わからせ棒は子供にわかりやすく勉強を教えるのにうってつけの指揮棒。

わからない場所やつまづくポイントに反応して教えてくれるすぐれもの。


強い大人というのはけして勉学を怠ることはないことをわからせてやった。



そのとき、わからせおじさんのもとに刺客が送り込まれた。


「お、お前は……!!」


「そう、私は未来のわからせおじさんだよ」


「未来の……!?」


未来からきたわからせおじさんはうなづいた。

さまざまな人生経験を経て刻まれた顔のしわが明らかな格上だとわからせられる。


「君がこの時代でさまざまな勝手をしているようだから

 未来のわからせおじさん連合から、君をわからせるようにと言われてきたんだ」


「私を……わからせるだと……」


「無駄だ。君のわからせでは私をわからせることなどできない。

 そんなことくらい、君もわからせられているんだろう」


「ぐっ……!」


強靭大人が相まみえたとき、そのあまりの理解力にお互いの力量や

勝敗までもわからせられることがあるという。


「わからせられたくなかったら、もうわからせることを辞めて

 わからせおじさんからただのおじさんに戻ることだ」


「……できない」


「なに?」


「私はけしてわからせられない!」


「物分りの悪い子供のようなことを。とっくにわからせられているんだろう」


「わかっている! だが、それでも挑戦することを諦めることにはならない!!」


「これだから練度の低いわからせおじさんは……。

 いいだろう。そんなに屈服させられるのが好みならわからせてやろう」


未来のわからせおじさんは本気の強靭屈服大人へと変貌した。

大地が割れ、海は干上がり、次元はゆがむ。


わからせおじさんもすべての力を解放してわからせモードへと入る。


「わからされて、たまるかぁぁーーーー!!!!」


わからせおじさんは屈服することなく命尽きるまでわからせにあらがい続けた。

その姿は世界に自分の意思を最後まで貫くことの大切さをわからせてしまった。


それは未来のわからせおじさんでもわからせることができなかった大切なことだった。


「ありがとう、わからせおじさん……!」


世界中の人達は大切なことをわからせてくれたおじさんに感謝し

わからせおじさんが守ってくれた平和を守ることの大切さをわからされた。



FIN




うん。意味がわからない。

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