二人目の被害者①
「あー、今日も仕事疲れた。オッサン上司はいつもすれ違い様に匂い嗅いで来るし、御局様は仕事を押し付けて毎日、定時退社するし。なんで、こんな会社に入っちゃったのかなー。」
帰るや否やソファに飛び込み、毎日恒例となっている愚痴と言う名の独り言を呟いた。
「とりあえず、疲れたしシャワーでも浴びてスッキリしよう。」
「ふぅー、さっぱりした。そして、お風呂上がりにフェイススチーマーでお肌に潤いをっと。」
私はネットショッピングが趣味で、ほぼ毎週何かお得な商品が無いかを探し続けている。そして、今使っているフェイススチーマーはフリマアプリで破格の値段で売りに出されていた。あまりの安さに少し不安にもなったが、売り主が女性だったこともあり、私は購入を決めた。
とは言うものの、やはり届くまでは内心少し不安を感じていたが、無事に届き、ちゃんと動くことも確認できたので、私はなんてお得な買い物が出来たんだって安心していた。
実は、フェイススチーマーだけでなく、私の部屋にある大抵の家電類、ドライヤーとかスチーマーなどの美容器系や間接照明などをネットショッピングでお得に仕入れている。安月給で激務の私にとって、お得な美容家電は無くてはならないアイテムだし、少しでもリラックスできる環境にするためにオシャレな照明はマストアイテムなのだ。
「あー、やっぱりこれ買ってよかった。肌が潤いを感じて喜んでいるのを感じるわー。」
なんて事を思いながら、私はつかの間の幸せを噛み締めていた。
そんな時、チャイムが鳴った。
「誰だろ、こんな時間に。」
インターホンカメラには見たことのないカップルが映っていた。
「どちら様でしょうか?」
「私たち、本日上の階に引っ越してきた山田と言います。引っ越しのご挨拶をと思いまして、遅い時間で失礼とは思ったんですが。」
「今、出ますので少々お待ちください。」
私はそう伝えると、急いで着替えた。
「初めまして、上の階に引っ越してきた山田です。こちら、引っ越しのご挨拶でみなさんに配っているので、よろしければ」
「ご丁寧にありがとうございます。これからよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。では、遅い時間に失礼しました。」
挨拶を簡単に済ませると部屋着に着替え直して、受け取ったモノを確認した。すると、タオルが入っていたので、
「変なモノじゃなくて良かった。」
と胸をなでおろした。
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