第24話

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 目覚めると知らない天井だった。

 木の天井で木目が人の顔にでも見えるようなそんな木目だ。


「って、どこだここ?」


 見たわたすとどこかの建物の小さな部屋のようだが。

 そこで、俺は真っ白な布団で眠っていて。

 スヤスヤ……。

 

「ベットは二つあるのになんで俺の上で寝てる?」


 いや突っ込むべきはそこじゃないだろう。

 いや、そこも突っ込むべき場所だろうが。

 体に暖かい熱と重さを感じ掛布団をどかすと、サラが全裸で全裸の俺の胸の上でスヤスヤと気持ちよさそうに寝息を立てていた。

 昨日の一体何があった……。

 

 夜?そもそもダンジョンを出たあとそっから記憶がないのだが……。

 オイオイ、まさか昨日の夜とんでもないことをやらかしたんじゃないだろうな?

 状況が状況だ……いやいやナイナイ。

 

「あー考えても無駄だ」

「ん……」


 記憶がない以上どうしようもないので考えるとの諦めたところでサラが目を覚ました。

 首を上げたサラが胸の上でパチパチと目を瞬きして俺の顔を覗く。

 

「はげしかった……」

「な、なにが……」


 おいまさか本当に俺……。


「魔力」

「魔力?」

「エーテル飲ましてもダメ。だから……寝た。スー」

「寝た?っておい話の途中で寝るな」


 顔を胸板に戻し再び目を閉じるサラ。

 

「ひゃう」


 仕方ないので体を起こし無理やり起こす。

 そうしたら、本気で全裸なサラがベットの上できょとんと座って俺の顔を眠そうに見上げる。


「くちゅんっ」

「はあ……。昨日の夜どうした?」

「ツルギ魔力ないから、寝た」

「寝たとは?」

「んー」

「っと、なに?」


 そういうと、サラは再び抱き着いてくる。


「こうすると、魔力治る」

「治る?」

「なおる」


 子供だから暖かい体、密着しその温もりを直に感じるがそれ以外になにがあるというのか?

 

「ワタシの魔力、あげた」


 ん~つまり。

 

「こうして、キミから魔力をもらっていた」

「うん」


 離れ頷くサラ。

 なるほど、直接密着することで魔力を補填していたのか。

 魔力は空になった後だが、特に何も症状を感じないのはそのせいなのか?

 理屈は分からないが、

 

「そうか。ありがとう」

「うん」


 頭を撫で礼を言うと、サラが微笑んだ。

 そして、その直後。

 

 「ツルギさん。失礼します」

 

 ガチャ――、


「あ」

「あ」


 声と共に部屋のドアが開くと、シャルロットが入って来た。

 と思うと、一瞬空気が止まりそうして顔を書くすると、

 

「ふ、不潔です!!」


 ダンッ!!


「は!?ちょっとっ」


 ドタドタ。

 バーン。ガシャーン。


 第一声と共に扉は勢いよく閉じられ、シャルロットが即刻帰るとドタドタと部屋の外で騒音が聞こえ何やら騒ぎになっている。

 

「不潔って……」

「えっち」

「おいおい」

「ん?」


 意味を分かってえっちとか言ってるのだろうか?首をかしげて隠そうともしないサラだが、ああうん。不潔ってそいうこと……。

 何をどう見間違えたらそういう、あいや――他人から見ればそう見えるのか?

 というより、早くシャルロットを止めなければ。

 とんでもない誤解をされている。


「俺の服は?」

「そこ」


 言われなぜか床に散乱した服を指さされた俺は、ベットから出て飛び出し早着替えをこなして、木の窓枠から飛び出した。

 高さは三階、そこからちょうど建物の扉を開け飛び出したシャルロットの目の前に宙返りして着地し止める。

 

「シャルロット!!」

「ツルギさん!?サラさんに手を出すなんて不潔です!!最低です!!見損ないました!!」

「声でかいって、ていうか誤解だ!!」


 シャルロットの叫びで街の道行く人々がこちらに視線を送る。

 それに、変な噂でも立っては困ると俺は、どうどうと興奮するシャルロットを抑える。

 

「誤解?本当ですか?」

「ああ」


 それを訊いてほっとして、

 

「私の早とちりでしたか」


 誤解はチョロくも解けた。


「そうですよね、よくよく考えたらずっと眠っていたのですからそんな訳ないですよね」

「あ、ああ……」

「でもどうして裸に?あっ……」


 今度は顔を真っ赤にする。

 

「私ったら、殿方のいちもつを……。もうお嫁に行けません!!」

「何言ってんだ?つか――昨日あの後どうしたんだ?」

「へっ!?あの後?」

「ダンジョンで俺が寝た後だよ」

「それは――」


 首をブンブン振って赤らめた顔を正常に戻し、シャルロットが説明を始める。

 

「ツルギさんが眠った後、事情はサラさから伺いました。随分ダンジョンの中で大変な思いをされたようですね。無事でよかったです。それからいくつかサラさんからポーションとエーテルを頂いて回復した私が街までおぶってきたのです」

「そうか……それは何というか、ありがとう」

「いえ、こう見えて力には自信がありますので!」


 そう知って細い腕を曲げポージングするシャルロット。

 

「それから、そこの宿舎に止まっていることに。お金はサラさんが持っていましたが。いいと言ったのですが譲らず払ってくれましたので、そこは心配なさらなくて大丈夫ですよ。えっと――それから部屋までお連れしてベットまで運んだのですが……。あれ、おかしいですね。服はそのまま……」

「ああ、ありがとう。大体分かったよ」


 あらぬことを思い出しそうだったので止める。まあ、サラの言っていた魔力供給のことをいちいち面倒なので。忘れてもらおう。

 

「とにかく、ありがとう。助かった」

「いえ、礼を言うのはこちらです。アナタが居なければ私はあの場で命を落としていました」

「ああ」

「もしくは……あるいはその方が……」

「なんかいったか?」

「いえなんでもないです。朝食にしませんか?」

「そうだな。取り合えずサラを起こしてくるよ。多分あいつのことだ、寝なおしてるだろうから」

「そうですか、では私は1階にいますので」


 やり取りを終え、俺たちは宿に戻る。

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