第14話

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 そうして目覚めると、何故か彼女は横になっていた俺の顔を覗いていた。

 それもめっちゃ近くで。

 鼻と鼻が触れそうにになりそうなぐらい近くで。

 

 

「えっと……」



 無表情な左右非対称色の瞳が俺の瞳を覗いている。

 正直戸惑う。



「おはよう……」

「………」



 挨拶をしてみると、彼女は離れ座り、きょとんとした顔でこちらを見るなり。

 

 

「おは……よう?」



 首をかしげて可愛くもそう呟いた。

 それに起き上がった俺は安堵する。

 

 

「気が付いたのか」

「ん……?」


 

 俺の問いかけに、今度は逆方向に首を傾げる。

 

 言葉が通じない?いや、おはようって挨拶したしなあ。

 

 

「キミ、名前は?」

「ん……?サラ」

「サラ?」

「うん」



 頷いた。なんというか随分とのんびりとした子だな。

 まあいいか。

 なにより、元気になってくれたのならそれでいい。



「さて――んーっ」



 俺は立ち上がり背伸びをする。血は抜けたままで少し貧血ぎみっぽくふらっとするが、まあ大丈夫だろう。

 さて、どうしてもんかな。

 

「ねえ……」

「なんだ?」



 これからどうしたものかと思っていると、立って背伸びしている俺にサラは俺のコートを引っ張ってきた。

 

 

「なに?」

「おなかすいた……」

「おなか?」

「ツルギ。おなかすいた……。おみず……」

「ん~、取り合えず水はほら」



 水の入ったガラス瓶を渡すと、それを一気にごくごくと飲んでくれる。

 それを横目にみながら、食料について俺は考えてい見た。

 

 手持ちに水がなかったようにもちろん食料などない。

 それに、確かに俺もお腹が空いた。

 血も抜けて貧血気味だし……。

 できれば血を補給できるような食べのが欲しい。とはいえ……。

 ………。

 

 物は試しか。

 食べ物で、剣状のもの……。

 

 

「ソードクリエイト――バーベキュー」



 形成するはバーベキュー。もはや剣ですらない気きもするが……。肉、ネギ、玉ねぎ、ピーマン、トマト。こんがり焼けたばかりのステンレスの串に刺さったバーベキューが手元に現れる。

 まさか本当にでるとはな……。

 

 煙を上げて、香ばしいうまそうな匂いを放ってくれている。

 

 

「………」



 それを、必死に水を飲んでいた手を止め、サラは不思議そうな顔をしてよだれを垂らしながら見ている。

 俺までよだれ垂れてきた。

 まあとは言えそこは、お預けを食らった犬のようですごく興味津々なので。

 

 

 

「ほら――やるよ」

「ん?」



 差し出したソレを受け取るとサラは首を傾げる。

 

 

「食べてみ?」

「ん――んん!?」



 目が見開いて、物凄い勢いで食べ始めた。

 お気に召したようで結構だ。

 

 

「さて――ソードクリエイト」



 自分の分をだし、地べたに座りなおして、俺も食べ始めた。

 

 

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