結晶が色づくとき
梅春
第1話
私は、雪深い郷で育った。
あんたはほんとに雪が好きな子だったわね。何時間も心配になるぐらい雪遊びして。でも、不思議と風邪もひかなかった。そんなに丈夫な子でもなかったのに、雪だけは平気だった。名前が雪子だったせいかしらね。
母は今でもそう言って笑う。
雪子という名前は母方の祖母である雪江ばあちゃんがつけてくれたものだ。
雪江ばあちゃんが亡くなる前、一年ほど一緒に暮らした。雪江ばあちゃんがどうしても最期は生家で過ごしたいと言い、母がそれを支持したからだ。
雪江ばあちゃんも雪が好きな人だった。
昔、このあたりはもっともっと雪が深かったんだよ。
そうなんだ。でも、今でもいっぱーい雪があるよ。
そう反論する私を雪江ばあちゃんは柔らかい雪を包むように抱きしめて、笑った。雪江ばちゃんは、私が四歳のときに亡くなった。
祖母が亡くなり、五年ほどして、私たち家族は父の仕事の都合で街へと越した。
札幌の街は賑やかで華やかで、でも雪があれば私にはどこも同じだった。
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