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3月31日  伊関晋也

『行きたくねぇなー…』

俺は送迎用ハイエースの中でひとりごちた。


行きたくねえとは言いつつもアクセルを踏み続けている。


俺は老人たちを半日預かるでデイサービスの職員。

運転手も兼務している。



今向かってるのは南埼玉団地みなみさいたまだんち


乗せるのは久瀬と言うババア。


多少ぼけてる。

と、思っていた。


思っていたからこそキャッシュカードを拝借させてもらった。


出来心だったんだよ。

てか財布にゲンナマ全然いれてねーんだもんな。

腹いせにカードだけでも、って。


こないだ職場に名指しで電話かかってきて『全部知ってるのよ』だってさ。


めっっっちゃ凍りついたわ。


返すしかねえか。返して土下座しよう。


素直に謝りゃあの婆さん独居暮らしだから大事にはならないだろ。

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