異世界ボディビル観戦~ミスターファンタジーオリンピアへの道~
海澤寿三郎
異世界ボディビル観戦~ミスターファンタジーオリンピアへの道~
異世界ボディビル観戦~ミスターファンタジーオリンピアへの道~
さあ第3回を迎えました筋肉の祭典!
ミスターファンタジーオリンピアが本日開催されました。
様々な種族の代表が!
鍛え上げた自慢の肉体を引っ提げて!
ここ筋肉の聖地べガラス城へと集結いたしました!
司会はわたくしスコットと
「解説のラリーです」
この両名でお送りいたしマッスル!
さあ、まずは選手の入場です。
エントリーナンバー①番はエルフ族代表のツェーン選手。
190cm 体重88kgという事ですがどうでしょう、ラリーさん。
「エルフの方は弓を得意とされているからでしょう。
後部の三角筋と背中の発達が目を引きます。
ローテーターカフのカットも良く出てますね。
引き締まったウエストといい素晴らしいプロポーションです。
エルフ族は金属を嫌うため高重量のトレーニングをしないと聞きます
それが細いウエストを生み出す秘訣も言われていますが
その反面が腕や脚が若干細く見えますね。」
その取捨から勝負は始まっているという訳ですね。奥が深い。
続いては②番ミノタウロス族代表のマッカス選手です。
身長268cm 体重は248kgと大柄に見えますが?
「実はミノタウロスの中では4mを超える方もいて
マッカス選手は小柄な方なんですよ。
ですがしっかりとサイズを残してきたので身長より大きく見えますね。
ミノタウロス族は他の種族にはない『頭筋』 という首の筋肉があり
その大きな頭を支えるためによく発達しているのですが
それに伴った僧帽筋、肩の盛り上がり方はまるで山脈、見事です。
ただもう少し絞れたかなという印象を受けます」
マッカス選手は減量前は350kgあったという言われてますので
サイズか仕上がりか、その選択もボディビルの面白さであります。
③番オーク族代表リープ選手です。168cm 102kg
大会1か月前には150kgあったと言われていましたがどう見ますか?
「はい、私もその時お会いしましたがもはや別人ですね。
頬のこけ方がこの一ヵ月のシリアス度を物語っています。
オーク族は体脂肪率が高くなりやすくお腹が出ているイメージですが
アダマンタイマイの甲羅のような見事なシックスパックです。」
オーク族のイメージが覆る甘いマスクと引き締まったウエストに
城内では黄色い歓声が飛び交っております。
④番ドワーフ族代表ダンパディル選手 146cm 68kg
ドワーフ族は身長が低いのが特徴ですね。
今大会では一番小さいダンパディル選手ですが村では高身長の部類だとか。
このあたりどう見られますか?
「はい、ボディビルは競技の特性上身長に有利不利はありません。
どの身長でもメリットデメリットがありますから。
ダンパディル選手は他の選手と比べて小柄ですが同じ腕の太さであれば
小柄な選手の方が太く見える訳です。
ドワーフ族は指が太く握力が強いので太い前腕も魅力ですね。
ダンパディル選手はこの大会のため周囲の反対を押し切り1か月の断酒を決行。
ドワーフ族の恥さらしと現在村八分を受けているそうです。
おっと、ドスン…ドスン…と舞台が揺れてるぞぉー
⑤番巨人族代表ダリシン選手 なんと458cm 602kg!
と今大会身長体重共に最大となっています。
「大きいですねー。ですが先ほどもお伝えしたようにボディビルという競技
は大きいという事が必ずしも有利という事ではないですからね。
やはりというかサイズはに対してカットが甘いです。
筋肉の個々のストリエーションはまだまだですね。
ただ巨人族は踊りが好きな種族ですから
ポージングで化けるかもしれませんね」
ダンパディル選手はダリシン選手の膝ぐらいしかありませんがその両者が同じ舞台で戦えるのもボディビルという競技の面白い所ですね。
さあ優勝候補のロンコー選手が満を持して登場です。
6⃣番オーガ族代表ロンコー選手 192cm 146kg
なお角の部分は身長としてカウントはしておりません。
大人のオーガ族の角の重さは約8kgと言われているので
実質138kgで仕上げてきた訳ですがこれをどう見ますか?
「はい同身長帯の①番ツェーン選手より50kgも重い体ですが
薄皮一枚の仕上がりで脂肪はなく鋭いバスキュラリティを感じさせます。
ツェーン選手と対極的に高重量で極限まで鍛えてきたロンコー選手の体は
元々力の強いオーガ族の種族の血にあっているのでしょう。
ガーゴイルの肩
ハーピーの胸
グリフォンの翼
ドラゴンの脚
と部位ごとに異名を持ち、そのどれもが異次元のサイズです。
卵を飲んだラミア
と揶揄される膨らんだお腹だけが唯一の弱点でしょうね。」
なるほど、確かにツェーン選手の引き締まったウエストとも対照的です
バキュームポーズと比べると3倍ぐらいありそうですね。
審査員はそこをどう評価するでしょうか。
ラスト⑦番はヒューマン族代表 折馬征爾(オリバセイジ)選手の入場です!!
『ワーッー!セーイージ!オーリーバ!』
待ち望んだ生ける伝説!ようやくべガラス城に降り立ちました!!
この大歓声!…が…聞コ…す…ざざっ ザーッ…
「ままー てれび うつらなくなっちゃったー」
「ふふ あの人らしいですわ」
残念そうな幼女に対し母親は満足そうだ。
「じゃあパパの雄姿を見に行くのですわよ」
「いくのですわぞー」
てれびはうつらなくなったが大歓声は鳴りやまない。
「わたしもぱぱのなまえよぶぞー」
「まけないのですわ」
その扉の向こうで熱き男たちの異世界一平和なバトルが行われているのだから!
異世界ボディビル観戦~ミスターファンタジーオリンピアへの道~ 海澤寿三郎 @kaizawa
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