間倉井邸、斎場となる
深夜。朝倉病院を発った、
この時も、遺体を収めた棺を運んだのは喪服に身を包んだメイトギアだったが、遺体を安置する場所を整えたのは人間の職員である。
そして、かねてから、
「自分が死んだ時はここを斎場にしておくれ」
と告げていた部屋が、故人の遺志に従い斎場として設えられていた。建設された当初からそうすることを前提に作られた部屋なので、実にやりやすかったようだ。
道路に接した庭に面し、弔問に訪れる者も楽に出入りできるように考えられている。しかも、これまでにも
それらの住人の多くは身寄りのない者達であり、
「安心して死ねないような社会はロクなもんじゃない」
とも、彼女は生前口にしていたという。だから自宅を、身寄りのない者の最後の受け入れ先として使っていたのだ。
そこに、森厳とレティシアの姿があった。
「見ず知らずの人間に来られても迷惑なだけだよ!」
そんな風に言ってたらしい。
その一方で、
『湿っぽいのが嫌いな
という考えで集まってきたのである。
その中には、
また、隣接する
「先生からのお達しです。『入院患者はおとなしくしていろ。迷惑だ』とのことですので、外出の許可は出せません」
と、
「こちらにて、弔意を示していただけます」
病室に備え付けらたパネル型モニターに祭壇が映し出され、その前に焼香が用意された。
「
ニーナは、眠っている
「先生、寛慈です。おかげさまでとても元気です……本当にありがとうございました……」
泣きながら大きく頭を下げた。彼女は焼香のやり方を知らなかったが、それも別に構わない。
「死んだ人間の悼み方なんざ、人それぞれだ。悼みたい奴がやりたいようにやりやすいように悼めばいい」
と言っていたのだった。
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