間倉井医師、神に歯向かう
こうして千堂アリシアがニーナの不安を和らげている一方で、久美と亜美は、
と言っても、見た目には非常に静かなものだ。カテーテル手術用のロボットにリンクし、自身の体の一部として操作しつつ、久美と亜美がそれぞれ薬剤の投与や器具出しをお互い行っている。人間の場合なら、手術を担当する医師が二人、サポートを行う看護師が三人は必要なところだろう。けれど、
もっとも、これは正直、本当に最低限のギリギリの綱渡り状態だったのも事実。この上でさらに何か不測の事態が起これば一気に破綻するようなものでもある。
しかし、ないものをねだってもないのだから、この体制でこなすしかない。
『死にたくない』のもそうだし、今は『死んではいけない』し、『意識を失ってもいけない』のだ。そういう意味では、非常にタフなオペでもある。
『まったく……人生の最終盤でこの老骨をここまでコキつかうかね……神様って奴は本当に意地悪だ。でも、だからこそ、負けてやれないね。あんたの思い通りにはなってやらないよ。神様とやら……!』
「フォルポリアス、十ミリ、静注」
「フォルポリアス、十ミリ、静注、了解」
意識レベルが低下したことを察した
しかしその作用により血圧が上昇、脆くなった血管に負担を掛ける。
「メティターゼ、二十ミリ、静注」
「メティターゼ、二十ミリ、静注、了解」
再び血圧を安定させる薬剤も投与。とにかく状態を能動的にコントロールする。これも、無数の修羅場をくぐってきたからこそのものだろう。そんな
人間とロボットが正しく連携してこそのものであった。
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