千堂京一、自身のネットワークを使う
とは言え、再会を懐かしんでいる場合でもない。千堂は自身のネットワークを辿って心当たりの医師を探した。さりとて、<
医師の手配だけでなく、医療に欠かせない物品の手配についても
だとすれば、
その医師が属する病院などとの契約に触れなければ。
が、さすがにこんな急に申し出ては先方にも都合がある。それこそ他の患者を診ている場合もあるだろうし、休んでいる場合もあるだろう。すぐに対応できない場所にいる場合だってある。
心当たりの医師すべてにメッセージを発信したが、どれも『申し訳ない。今は対応できない』との返答ばかりだった。就寝中なのか取り込み中なのか、返信そのものがないのもある。
千堂がそうして心当たりを探してくれている間にも、アリシア2234-LMNが体を拭き終えて診察室へと入っていく。
「では、オペ室に移動します」
久美とアリシア2234-LMNが
亜美は、
「うう……!」
ニーナが呻き声をあげ、亜美が、
「破水を確認しました。出産に移行します」
と告げる。ニーナが寝ているベッドからは、液体が滴っていた。羊水だ。思わぬ事態に遭遇したことで、ニーナにも影響が出てしまったのかもしれない。
それが亜美から久美に伝わり、アリシア2234-LMNと千堂アリシアにも情報が共有される。
そして久美から報告を受けた
「分かった。このまま産ませる! 亜美、頼んだよ!」
自身も手術ベッドに横になってカテーテル手術用の局所麻酔を受けながら指示を出す。
「なんてこと……」
千堂アリシアは思わず呟いたが、起こってしまったことはもう変えられない。このまま、<大動脈解離の手術>と<出産>を同時進行で対処するしかなかったのだった。
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