人類の夜明け戦線R、大打撃を受ける

こうして、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>の中心メンバーの一角が確保され、事実上、この時点で<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>は壊滅したのも同然だったと言えるだろう。


しかしそれでも、動き出した計画は、ニューオクラホマの各地に散らばったメンバーらの手によって機械的に進められていた。手にした端末に合図が来れば、それを操作して仕掛けを発動させるだけだったのだ。


特に、地下鉄の構内や、人の集まる場所でのそれは、パニックを起こさせるだけなら十分に効果があった。いくら、


『ちょっと派手に火柱が上がる花火のようなものに過ぎない』


とは言え、安全性を考慮した<低温花火>などとは違い、至近距離で火花を浴びれば容易く重度の火傷を負うようなものでもある。


『たかが花火で』


というわけにはいかないのだ。特に、地下鉄の構内などでそれが作動すると、ディミトリス・メルクーリが遭遇した事例のように、パニックを起こした乗客らによって二次被害が発生する危険も増大するのだから。


これもあって、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>は、メンバーを一つ所に集中させるのではなく、徹底的に分散させて、ただ指示通りに端末を操作するだけで仕掛けが発動するようにシステムを組んだということだ。


このことは、システムというものに非常に精通した人間がメンバー内にいたということも示しているだろう。


さりとて、時間の経過と共に<仕掛け>についてもデータが集まり、すぐさま警備用のレイバーギアが作動した仕掛けを包囲し、収まるまで人間を守るという対策が取られるようになったことで、パニックも軽減されつつあった。


一つ一つの仕掛けそのものは、一分ともたないようなものだったからだ。それが時間差で作動することで大きなパニックを起こさせるように誘導しているに過ぎない。


一方、最も多くのメンバーが潜伏していたとみられるウルヴァリン・ガーデンでのサーペントによる作戦は、非常に順調に推移していた。


開始わずか十分で百名を超える<容疑者>を拘束。その中にはまったく事件とは無関係な者も少なからず含まれつつも、実際に<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>のメンバーの多くも拘束されていったことで、仕掛けの発動を未然に防げた例も数多くあった。


ニューオクラホマ各地に分散して潜伏していた他のメンバーらも、警察の対テロ部隊や軍の活躍により、次々拘束されていった。


それでもまだ、拘束を免れているメンバーもおり、<状況>は続いていたのだった。


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