ヤミ魔術師、ラウル・ディルティクス

<戦術師>


とは言っても、実は戦術タクティクスとはあまり関係がない。正しくは、


いくさ魔術>


という意味で、


<戦闘に特化した魔術を修得した者>


を指す単語である。<ORE-TUEEE!>内においては。


ちなみに、<魔法>と<魔術>は、混同されることも多いものの厳密には別の意味とされている。


<魔法>は、


<この世界に大気と共に存在する<魔素>に干渉することによって生じる現象>


を差し、


<魔術>は、


<魔法という現象を理論的に解析し<技術>として体系化したもの>


を指すのだという。


一般には、<魔法使い>という単語が広く使われているものの、これはあくまで、何の鍛錬も積まず自然と魔法を生じさせるだけの者も含むので、公的には、


『<魔術師>と<魔法使い>は別のもの』


とされているそうだ。


また、<魔力>は、


<魔素に働きかけ魔法を生じさせる一種の<電磁波>のようなもの>


と設定されている。


つまり、


<魔素に働きかける魔力を発生させる素養>


を持ち合せない者は、どれほど努力しても魔法を生じさせることができないということである。


同時に、<魔力>そのものも波長のようなものによっていくつかの種類に分類され、それによって魔法の適性が変わるというのもあるそうだ。


『適性がないとスティールが使えるようにならない』


というのも、そういうことである。


しかしこの世界には、生来、魔力の強さが人並み外れている者がごくまれにいて、そういう者の多くはその才能を見い出されて<魔術を学ぶ学校>へと通ったりして、


<社会の役に立つ魔術師>


として育成されることになっていた。ゆえに、<魔術師>と<魔法使い>は厳密に別のものなのだ。


が、あくまで<技術>であるということは使い方によっては悪用もできてしまうため、それを狙って素養を持つ者を囲い込んでしまって洗脳に等しい教育を施し、私利私欲のために使おうとする者も、やはり出てきてしまうのも現実だった。素養を持つ者を<魔術を学ぶ学校>に集めるのは、それを防ぐ意図もあり、ゆえに学費などの一切が免除されている。


そして<戦術師>ラウル・ディルティクスも、私利私欲のために魔法を利用しようとする者によって作り上げられた<ヤミ魔術師>の一人だった。


彼は赤ん坊の時からすでに魔法が使え、それに目を付けたゴクソツの幹部が両親を殺害した上に彼を攫い、


<ゴクソツのためにだけ働く魔術師>


として徹底的に育て上げられたという過去を持つ者だった。しかしその分、ゴクソツに利になることのみを是とする魔術師として頭角を現し、現在では幹部の一人になっているのだった。


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