千堂アリシア、取捨選択を行う
と、そうして詳しい過去が設定されているのは、実は対処次第では<仲間>に引き入れることができることも表している。ただ、コデットの件でも分かるように、普通に<更生>を図ることでもあるので、実に面倒で、それでいて本筋には大きくは影響しないので、わざわざそれを目指すプレイヤーも決して多くはない。
ただ、エンディングの演出などが変化することもあり、いわゆる<やり込みプレイ>を目指す者の中には挑戦する事例もあるにはある。
とは言え、アリシアの目的はアトラクションを楽しむことではないので、残念ではあるもののゴーディンを仲間に引き入れるだけの手間は掛けていられなかった。コデットはあくまでパッケージにも登場するほどのメインキャラクターの一人かつ彼女の<スティール>によってスキップできるイベントが多いので、敢えて手間を掛けたというのもある。
けれど、アリシア自身は、必ずしも納得はできていなかった。
『コデットは救い、ゴーディンは放置する……メイトギア失格ですね……』
そんなことも思ってしまう。
本来、メイトギアは、たとえそれがどんな人間であれ、意図的に見捨てることはしない。ただひたすら、自身のアルゴリズムに刻まれた通りに丁寧に接するだけだ。もちろん、犯罪行為には加担しないものの、それ以外については反抗することもない。
不満を抱くこともない。ただただ自身の役目を果たそうとする。
それがメイトギアなのだから。
なのに、<千堂アリシア>は、違ってしまっている。人間と同じく、人間についても取捨選択を行う。<救う者><救わない者>を作り出す。
決して少なくないストレスも感じながら。
とは言え、今日も、メイトギア課のオフィスでは、アリシア2234-HHCを介して<ORE-TUEEE!>をプレイしながら、<千堂アリシア>が普段通りに業務をこなしていた。
やはり特別仕様のメイトギアの開発のサポートだった。が、今回は特に問題もなく順調にこなせているので、こちらについては支障はない。
しかし同時に、アリシア2234-HHCの状態についてもモニターしている。
『AIの稼働率、二十三パーセント。ストレスは許容範囲内。各部異常なし。不正コードにも変化なし。ファイヤーウォールに問題なし。概ね順調』
しっかりと解析し、対処している。
なお、アリシア2234-HHCについては、今回の<任務>を終え次第、AIについては全交換の上で再インストール。<都市としての
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