エピローグ
「ごめんなさい……」
役員会を終えて自宅に戻る途中、アリシアはまた謝る。
そんな彼女の頭を、千堂はそっと撫でた。
「アリシアは頑張ったよ。私はそれを誇りに思う」
そう言って笑顔も向けながら。
「千堂様ぁ……」
アリシアはただ彼にすがりつくしかできなかったのだった。
なお、
アリシアはその
「ごめんなさい……」
と謝った。
「私がもっと上手くやれていれば……」
とも。
しかし、彼女はそう言うものの、おそらくアリシアでなければそもそも機体すら回収できなかったかもしれない。アリシアは十分に良くやったのだ。
そして、<遺体>を間近で見たアリシアと
ただ、映像データだけでは証拠能力は必ずしも高くなく、やはり遺体そのものを回収できなかったためにDNA鑑定ができなかったことが断定を阻んだのである。
こうして、<火星史上最凶最悪のテロリスト、クグリ>の死亡は、確定されることはなかったのだった。
この半年後、
「おかえりなさい!」
メイトギア課のオフィスで、笑顔のアリシアとたくさんの同僚に迎えられたのは、丁寧で根気強いカウンセリングとリハビリを経て回復し復職したエリナ・バーンズだった。
「ありがとう…! ありがとう……!」
彼女は涙を流しながら何度も何度も礼を述べた。
これでようやく、第一ラボも万全の状態に戻っただろう。
それを、千堂アリシアも、とてもとても喜んでいたのだった。
ただ、そうやって本来の姿を取り戻す者がいる一方で、完全に姿を消してしまう者もいたのだが。
それは、裁判の開始を待つ間、一時的に保釈されていた、
<ジョン・
である。
警察の懸命の捜索にも拘らず、彼の行方は杳として知れなかったのだという。
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