第10話
出発してから2時間後、やっと森を脱出する事が出来た。
森の移動自体は拍子抜けと言ってもいいぐらいにアッサリとしたものだった。魔獣も見付からなかったし、虫がいたとしてもバリアが完全に守ってくれた。
木々も同様だ。この森は最初に想定していたよりも鬱蒼としていた。
本来ならちゃんとした装備がなかったら森に詳しい人間でもマトモに進む事は難しかっただろう。だが俺はパジャマという軽装備でありながらバリアのおかげで、何の問題もなく進む事が出来た。
「で、バリアにどんな欠陥があったんだ?」
険しい道が終わり、魔法を解除したところでミラに質問する。
この道中、全くと言っていいほど不満を感じなかった。強いて言うなら強度ぐらいだ。
全身に纏っている分、バリア自体はかなり薄くなっている。だから魔獣とかに攻撃されたらイチコロだ。
もちろん、それは弱点ではあるのだろう。だからといって欠陥と呼べるほどだとは俺には思えない。
「……持続時間よ」
「持続時間?」
それこそ何の問題もなかったと思うが。
2時間も使い続けれれば充分だろう。
「はぁ……」
呆れた様子のミラ。
その目は言外に「お前はおかしい」と語っている。
何か変な事でも言ったか? この世界の常識が分からないので対応のしようがない。
「普通はそんなに持たないものなのですよ」
どこから説明しようかと迷っているミラに代わってレイアが説明を開始する。
何故か妹に抱き着きながら。
「お姉ちゃん!? いきなり何をちょ! そんなとこ触ったら」
抱き着いたと思ったらそのまま妹の胸を揉み始めた。
本当に何やってんだ、こいつ。妹に対して本格的なセクハラ。頭おかしいのか?
「だ、駄目よ。こんなところで……変態も見てるしあんっ!」
こんなところ、じゃなかったら良いのだろうか?
更に激しくなるレイアの攻めに耐えきれず喘ぎ声を上げるミラ。感じているらしく赤くなっている顔が何ともエロい。
いきなり目の前で繰り広げられる魅惑的な光景に視線を外す事が出来ない。
「…………」
二人のやり取りの一部始終を脳内フィルムに保存する。
ミラの服がはだけて見える素肌、レイアの完全に欲情した性的な表情。非常に素晴らしい。当分オカズには困りそうにないな。
だが一つだけ気になる事がある。俺としては眼福だし不満はない。気になるのは何故急に妹を襲い始めたか、だ。襲うなら俺にすればいいのに。
「仕方ないじゃないですか。ヤる直前で中断されたせいで色々と我慢の限界だったんです。このままじゃあ性欲を抑えきれなくて一人で始めてしまうところでしたよ」
「全然性欲を抑えきれてないがな」
まるで性欲の暴走した獣だ。
レイアの倫理観はどうなっているのだろうか? 最初は異世界だから価値観が違う可能性も考えたがミラの反応を見る限りそうではないらしい。
レイアがおかしいだけだ。
「失礼ですね、抑えれていますよ。だから、ここまで我慢できたんですから」
「だったら、もうちょっと我慢しろよ。里とやらに到着してからでもいいだろ」
それが俺が参加しない理由だ。
百合に男が混ざるのは許せないという気持ちも確かにあるが、そんな事より美人姉妹との3Pの方が魅力がある。
ただ初体験がこんな野外なのはどうかと思う。もし誰かが現れて中断なんて事になったら嫌だし、何よりそんな事になったらレイアみたいに色々と我慢できなくなる可能性が高い。
「いいじゃないですか。野外プレイというのも萌えますよ?」
「……変態だな」
「別に否定するつもりはありませんが、貴方だけには言われたくないですね」
「それは俺も同じ気持ちだ」
レイアは俺の事を変態と呼ぶが、実の妹に欲情して襲う奴よりは俺の方がマシだ。
……待てよ。二人は血が繋がっていない可能性もあるな。
確かに顔は似ているが、それ以外は真逆だし。遺伝子が同じで、家庭環境も一緒。それでここまで性格が違うものだろうか。
……いや、そこまで気にする事でもないな。姉妹で似ていないなんて普通にある事だ。
元の世界の事を思い出しながらそう結論を出す。
「それに里まで待てなかった訳じゃないですよ」
「どういう意味だ?」
「別に深い意味がある訳ではありません。ただ里に戻ってからヤるより、ここでヤる方が邪魔が入る可能性が少ないのです」
「んっ……だめ! 待って、それ以上は……」
口調だけなら淡々としているように見えるが、その手は確実にミラの弱い所を攻めていく。
具体的に説明したいところだが、もしそれをしてしまうと十八禁になってしまうから出来ない。非常に残念だ。
「……ああ、なるほど」
二人のレズプレイを観察しながらもレイアの言いたい事が分かった。
里がどんな場所か分からないけど、確かにここの方が邪魔が入る可能性が少なそうだ。
「ええ、七瀬さんが考えている事で正解です。ここは魔獣の森の入口、誰も近付きません。更に付け加えるなら、その上魔獣も基本的に森から出る事はありません。つまり隠し事をするにはピッタリの場所ということです」
その理屈だと誰か現れてもおかしくないと思うが。
秘密裏に何かしようと企む輩はどこの世界にもいるはずだからな。
それとも、この事をふまえた上で誰も来ないと言っているのだろうか? だったら俺が思っている以上にこの森は危険だという事になる。
まぁ、どうでもいいか。もう脱出したんだ。こんな森に二度と来る事はない。
色仕掛けされても勇者なんてやりたくない 二重世界 @cool
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