朝々
坂町 小竹
3月29日 雪の朝
寒い、朝である。
今朝もほど遅い時間に目を覚ました私は、うだうだと携帯電話の画面を開いた。いつも通りTwitterを開いてニュースを確認する。友人たちが何を言っているかより、専門家やコラムニストの伝える言論に注目して私は指を動かした。
どれもこれも感染症の話ばかりであった。
死者数の推計とは違う、生身の人間のロックダウン生活の記事などを読んでいると、現実味が溢れて私は外出が怖くなった。ここ最近体調を悪くしている母が、余計に心配になった。
桜より遅い今年最大の雪、と見て、はて、雪が降っているのだろうかと私は上体を起こした。ベッド脇の窓は隣家の壁を映していて、しかしいつもより白く見えた。そこで窓を開けたのだ。
まさか、と思うほどの大粒の雪が風に連れられて落ちていっていた。見える道路にはしっかりとした柔らかい綿が捧げられている。そして、その上にいくつかの足跡。じっと見ている自分の元へ雪が入ってくる。
試しに、と腕を外へ出した。掴めるだろうか。手に大粒の雪が降りてきて、袖にもぴとっといくつか張り付いてきた。なるほど素敵な朝だ。雪に会えた。
おはよう。
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