彼女の理想に近づく為に、僕は何度でも繰返す
トン之助
第1話 プロローグ【キミに伝えるこの気持ち】
「キミの事が好きです!僕と付き合って下さい!」
「寝言は寝て言えブタ野郎が!身の程を知れ!」
高校入学をした初日、僕は一人の少女に告白し……玉砕した。
彼女の名前は
彼女は気高く孤高で優雅で…その凛とした佇まいと切れ長な目、腰まで届く黄金の髪を青いリボンでまとめポニーテールにしている。その容姿はどこかの国の王女様のように美しい。
同じクラスになれたのもきっと何かの縁。彼女に一目惚れしたその時から僕の行動は早かった。
担任の先生が挨拶し各自自己紹介をしている時。周りのクラスメイトは彼女に見蕩れている。その姿は美しかったから。
しかし、そんな彼女は笑顔も浮かべず、ただ淡々とした受け答え。そこがいいと思う人はハートを撃ち抜かれていただろう。
キーコーンカーンコーン
午前中で説明が終わり、新入生は各々帰路についていく。彼女の周りには凄い人集りができ、その中心は主に男子で構成されている 。そして他のクラスからもチラホラと人影が。聞こえてくる会話はこんな感じ
「ねぇ藤宮さん連絡先交換しよ?」
「彼氏いるの?俺立候補しちゃおうかな?」
「この後カラオケ行かない?あっおれサッカーの推薦で入ったんだよね」
「俺、難関国立目指してんだ!勉強教えるよ?」
(出たよ容姿だけで人を選ぶやつ。下心が丸見えだな。そんなんじゃ彼女は振り向かないだろ……)
僕はそんな事を思いながら彼女を見ていた。
「どけ!邪魔…」
彼女からドスの聞いた声が聞こえた、そして彼女は立ち上がる。
藤宮さんは長身だ。そこら辺の男より背が高い、もちろん僕よりも。
(全くわかってないな君達は……いいかそんな回りくどい事をするから彼女の怒りを買うんだ。見てろよ、僕が手本を見せてやる!)
彼女に気圧されて集団が割れていく。そこを悠々と歩く姿はファッションモデルのよう。
僕は先回りをし、彼女の行く手を阻んだクラス中が何事かと僕の方を見ている、大注目だ。
「……邪魔」
彼女は一言そういって僕の横を過ぎ去ろうとする。
「藤宮さん!」
僕は声を大にして呼びかけた。
「……」
一瞬止まった彼女が振り向き視線が交わる。
「キミの事が好きです!僕と付き合って下さい!」
「寝言は寝て言えブタ野郎が!身の程を知れ!」
彼女はまるでゴミを見るような目と強烈な一言を残し、そよ風のように去って行った。
一目惚れだった……
美しかった……
綺麗だった……
ドキドキした……
一緒にいたいと思った……
辺りが静寂に包まれる。誰も動かない、いや動けない……なぜなら、膝から崩れ落ちる僕の姿があまりにも悲惨だったからだ。
この日、
そしてその日から、僕のあだ名が『突撃のクロエ 』になった。
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