斜塔の上で

霧の孤独を素肌に感じて

波は結び目を重ね外に帰すの

獅子の視線を手にしたならば

私は何を跪かせるだろう

線引いて 摘まれた花並べたならば

滅んだ海を呼び込む

星が空を仰いだならば

そっと眼を瞑り祈る


斜塔の上で人達は

傾きの崩壊を正す方へ

闇は夜すら覆い隠す

舟に灯は届くだろうか

まだ午前は美しく

飛行船は金の粉を撒いて行く

崖に立つ君の背中に吹く微風は

常に殺意を持って押している

そうおいで 砂浜に描かれた愛を消しながら

戦車で町へと運べ

君が影を映せるならば

少しだけでも重ねて居よう


樹々が揺れている

嵐が此所を通るのだと

そうして曇る空を眺めてると

心臓の林檎を私から鳥は摘まみ取る

夢見て 緑の花を殺げば茎から涙を零す

眠れない羊は合う事のない狼を気にする

この歌が絶えるまで

私は口ずさみ自ら幕を降ろす

土は急ぐ 陸の母で有るが為に

指を走らせる現代の様に

君が加熱に凝縮をさせるならば

私はそれを宇宙ごと頬張る

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