直角のついた人

眠れぬから町を徘徊してる

湿り気があるのに厚いコートを着ている

寝ぼけて夢も歩いてる私に

その人は青白く光る白い花を私にくれた

電柱はグニャリとお辞儀をする

ゴミ箱からは虹と光が飛び出して

腰を抜かすとその人は手を差し延べる

少しばかり桃の肌で湿り気のある手だった


あなたは直角の付いた人だった

先っぽ三角を二本も付けている

お家にご招待をすると

調味料ばかりを美味しく口にした

口の中には乱暴な口があって

殺意に似たファーストキスを試みる

私はそれに怯えて追い出した

遥か遠くからの一目惚れをしてくれた彼を


再び出会うと彼は縮んでいた

酸素の適応力が尽きて溶けていた

一目の付かない裏側に周り

私も溶けるくらいに抱き締めあった

脱力に精神が宇宙に離脱しそうだった

溢れ出た白インクに止めるキャップ

満足そうに彼は空気に溶けてった

いつかお腹を食い破りこんにちわするのね


名前はなんて付けようかな

ゴロゴロ動くよ軟らかいプールを

扉は無いけどノックしてる

小さいけれど雨漏りあるここを通りなよ

ピンクに腫上がっては膨らみ出す欲望

君はパパに似るのかな私に似るのかな

私にならきっと変わった性格をしてる

パパならきっと変わった容姿をしてる


浴槽で一人叫んで突いている

口止めの布を噛み千切ってしまいそう

脱力前の感覚が痛みと一緒に走る

テレビで聞いてたベタなリズムを刻む

プールから君は雨漏りを抜けて浴槽に出る

君は確かにパパに良く似ていたけど

掬い上げたら染み込む様に溶けてった

半透明の水が抜けて繋がりの糸は無かった

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