paradaise lost
海岸の朝焼を見て
水平線に飲み込れる
核爆弾が一つ
朝焼けと同じ光
明るさに包まれた
鼠は自身姿など
知らずに暮らしている
マンホールに潜んでる
光の侵入を許さない領域にて
声や音は抜け道から脱出する為に
拡散を生まれては繰り返す
鳴き声が下水を挟んで聞こえる
鼠が互いの性別を知り
交尾してるのだ
教わらなくても知ってるもの
私は持っているだろうか?
持っているだろうか?
今はまだ
気付かないだけ
使わないだけ
そうな事にしておこう
夢を見た
月が何時もよりでかくて
勘違いした花が
顔を出してる所に寝そべってた
蝶が不安定に飛んでいる
飛ぶ生き物じゃ無いのかもしれない本当は
それよりも虫酸が走るよ
赤信号はどこだ
その幾つもの顔を映す複眼や
渦を巻いてる口なんかに
苛立ちながら反射景色を見せる湖に
ボートが一隻浮いていた
紐を切って反射に映る月を目指し漕いだ
そこで醒ました
目を醒まし
綺麗なのか判断の出来ない
下水の水を掬い顔洗うのだ
大体は想像が付く
掬い上げた時に手から零れる泥
近付けると鼻に来る
廃棄物の悪臭
飲めば分かる
苦みとはまた違う不味さ
想像は付くのだけど
目に見えないものは
知らない方が良い
私はこうして生きているのは
鼠の肉を踏み殺して囓ってのもあり
この下水のおかげでもある
日溜の下を照らされていたら
私は昔に死んでいただろう
見えるとは恐怖で
知るとは後悔だ
しかしマンホールの蓋を探してる
地上を探している
太陽の下を歩くのだ
あれから幾つもの月日が経ったのか
曖昧に迷い混んで
気紛れに眠っていて
最早時間はとうの昔に死んだのだよ
揺れてから当たりと外れが出来た
外ればかりが溢れていて
当りを引いてない
鼠の神経を植え付けられた私は
地上の異変に気付いてはいるのだけれど
早く当りを引いて出たい
変わり果てた姿に
逃げだそうとしても
知ってしまった
地上とマンホールの下
私は呼吸を捨てなきゃならない
今 私は
534回目の睡眠から目を覚めた
時間のない私には
これが唯一の過去なのだ
あても無く彷徨う
同じ所を曲っても歩いてる様だ
誰か壁じゃなくて
端を作ってくれ
どこまで歩いているか
分からないんだ
辿れば梯子
登れば押し上げ
今日?
マンホールから入り込む光を見た
瓦礫の無人街にて独り立つ
風すら死んだ街よ
歩き鳴らす砂利な様な音だけが響く
地上は跳ね返す物が無いので
少し異様に感じた
周りの風景よりもこの時は何故か
割れた鏡をみると
私は随分と汚れていた
どうであれ空気は上手い
破裂したスプリンクラーを見つけ
私は汚れを落す
髪の油は落ちないが構わない
空は無情だよ
当たり前の様に
地上を照らし流れて行く
それはそうさ
私達のために
そこにいるのでは無いから
時間はおおよそ
理解出来る様になった
しかし何故こうなったの?
気になって仕方がない
私は木になった
支配無き空を羽ばたく鳥よ
そして私の第一遭遇者よ
この枝先に止まって
話をちょっと聞かせておくれ
おもてなしの木の実は無いけれども
肩に止まって良いよ
寂しいのなら
自由な空に寂しさを感じたなら
鳥を肩に連れて歩く
砕けた石の灰から
新しい千切れた腕を見つけた
異変は今も侵攻している
老犬を見たのは
そう過ぎった時だ
私は恐怖に震える老犬を撫でた
そうだな
翌日朝焼けを見に
海岸へ行こうよ
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