SUNEO
リッケンバッカーが横になっている 崩壊の街にはまだ電気が送られている
青白く街灯は照らす ベンチに灰が降り積もり光を跳ね返す
背中から抱きつくように 亡霊は冷たく重なり溶ける
人肌の暖かさが欲しい 懐炉や炎じゃなくて温もりのある肌
バランスが崩れ 毛布を持ち服屋のマネキンを愛した
朝を迎えて 陽の光はまだ 街灯の明るさを借りていた
雀の声に狂い飛び起きて 穴と温もりの無いマネキンを壁に叩きつけ
黙認していたマネキン達の服を破り ドアガラスに飛び込んだ
痛さも恥ずかしさも感じない 例え様のない顔で横たわっていた
置き去りにされた車のガソリンを撒いて 火を付けて燃やした
肌は爛れず 黒く焦げて力任せにクラクション殴って笑っていた
空間の領域が広がる この出来事を知らない数キロ先の雀の声は
街の隙間と騒音を潜り抜けて耳穴へと吸い込まれていった
全ては風に乗ってやって来るだろう 例えるならサンタのプレゼント
全ては風に乗ってやって来るだろう 例えるならLOVEとかPEACEなんかじゃなくて
神の橋は心があるなら渡れないのさ
誰もが認める平和論を唱えたその人の考えだって
神の前ではエゴの塊でしかないのさ 善者だって落ちて行く
橋から空へ 空から宇宙へ 外れていく 外れていく
ステルスは音速と共に消えてった
マッチの炎は風もないのに前へと
そうだと思い付きで花の種を植えよう
死は遠かった 狂えど刃は首に向かず
紐は脆く 吊るし切れたのなら
生の居心地に嗚咽しながらも
メメントモリを教会で祈る
リッケンバッカーの弦を持って来て
人である「罪と罰」を奏でる
アンプと繋いだエフェクターは
変わり果てたこの世界に似合うFUZZ色で
響き渡るだろうこれからも
海はまだ波を止めていないだろうか
全ては風に乗ってやって来るだろう 例えるなら世界の忘れ物
全ては風に乗ってやって来るだろう 例えるなら奇跡とか災いとかじゃなくて
紙の端に心があるなら描ける筈さ
嘗て良い所も悪い所もあったこの街の色を鮮明に
死にかけたマネキンはこっちを見ていた
彼女も多くの人に注目される事を望んでいる
渇いた花は瓦礫の上に咲き誇っている
とある場所の塀を登ると
黄緑の芝生が生えている永遠があると聞いたのだけれど
そこには大きな池しかなかった 蠢く影はスイマーの亡霊
顔を覗かせて水中で平泳ぎをしている
心の折れた人は亡霊になった時
その弱い心は獣にでさえ奪われてしまうのだ
もう彼の世界はこの池だけが全てである
何処かまだ知らないとこ行かなくちゃ
スイマーの亡霊の様になりたくないんだ
空はすっかり陽の昇る朝になっていた
雲一つない空に孤独の太陽は悲しさを日差しに染み込ませた
余りにも眩しくて手で目を隠した
君も何処か遠くへ行けばいいんだよ
此処に居るから悲しくて狂っちゃうのさ
此処から離れる事にする
旅人となり夢を持つ 誰かと出会う夢を持つ
心を失くす事などもうしない
神の橋など最早虚像で
その先の楽園など行っても意味など無いから
そう解釈して550のバイクで旅に出かけた
お昼にはサンドイッチを用意した
兎を見かけた
この旅への期待が膨れていた
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